ディナーコースより
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フランス産プッサン鶏のロティ 塩漬けレモンとプロヴァンスオイル風味。肉厚でジューシーなモモ肉が堪らない逸品。 |
グランメゾンという城を持ち、今まで以上に後進の指導にも力を注がれる高井シェフは、「すべてにおいて基本を大切に」という厳然たる料理哲学を徹底されているのです。つまり、古き良きフレンチのベース(クラシックの系譜)を大事にしつつ、その上で新しいものを取り入れながら進化していく、というわけです。
では、珠玉のプチ・メゾンから大いなる可能性を秘めたグランメゾンへと、その名の通り大きく生まれ変わった「ヴァリエ」のディナーコースを御紹介していきます。
・アペリティフの伴侶 各種アミューズ
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Amuses Gueule Varier |
アミューズとして登場したのは、グラスに入った「トマトと赤ピーマンのムース」、スプーンに乗った「サーモンのタルタル」、そして「蟹とクスクス 茄子のムースとトマトの泡」の3種類。どれも目を惹く美麗な盛り付けで、それぞれ驚くほどに手の込んだ力作ばかりなんですよね。グランメゾンとなった「ヴァリエ」に相応しい華やかさと気品さを兼ね備えたアミューズは、まさに圧巻の出来映えです。
まず、スプーンに乗せられた「サーモンのタルタル」は、ディルと共に添えられたエアリーなクリームが、脂の乗ったサーモン(タルタル)を優しく包み込みながら、口の中で馴染むように溶けてゆくのです。クリームの中に忍ばせたウオッカの、ほのかなブーケが余韻を残し、すっきりとした後味に。
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蟹とクスクス 茄子のムースとトマトの泡 |
トマトと赤ピーマンのムース |
続いてはグラスから見える二層のムース&クーリが何とも美しいルックスの「トマトと赤ピーマンのムース」。赤ピーマンの滑らかなムースに、澄み渡るような瑞々しいトマトのクーリを一緒に合わせて食すと、夏にピッタリの清涼感! トマトとピーマンのムースは、今までも様々なレストランで食べてきた有名料理ですが、ここまでピュアに素材感(特にトマトの涼酸味)を感じられたのは初めて。実にクリアで美しい味わいでした。
3つ目は、「蟹とクスクス 茄子のムースとトマトの泡」。蟹とクスクスを和えたものに、茄子のムースと、トマトの泡を添えた一皿で、チェリーとグレープフルーツを刻んだものが乗ってあります。これは足し算料理の傑作というか、理想型ですね。果実味と、海と大地のミネラルを彩り鮮やかに、味覚と視覚の両方から魅せつけてくれる逸品。その味わいの精妙なバランスには思わず唸ってしまうほどです。
・甲殻類の軽いブイヨンで仕上げた海からのリゾット
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La Mer en Risotto Sauce Coulis d'une Americaine Legere |
2皿目はリゾットが登場。甲殻類のブイヨン(ソース・クリュスタッセ)が利いていて、具も「鮑・海老・烏賊・帆立」と盛り沢山! しかも、「鮑」は肝まで入っていて、これは贅の極致たるリゾットでしょう。甲殻類のコク深い風味と共に、鮑の肝が放つ磯の香りが織り成す味わいは、海のエキスがたっぷりと染み込んだ、まさに「味の海物語」。