浮気男を変える方法は、ほとんどひとつしかないと思う。
世の中の男全員が浮気しているとは思わないけれど、現実としての浮気はともかく、浮気心がない男は皆無といってもいいなと、30余年の人生で実感している。
たとえば、街で色っぽい女性にスレ違った時、飲み会で美しい女性と接近する機会があった時……etc。たとえ、間接的にでも女子のフェロモンに触れていると、男の人は、半ば、無意識のうちに浮気心がむくむくとふくらんでいるがみてとれる。スキあらば……というのが、多くの男性の本音だろうと思う。
中には、スキはなくとも浮気したい! という、常に浮気心が全開な病的なレベルの浮気男も決して少なくない(全男子の20%くらい?)。
浮気男は、おもに2種類に大別される
この病気レベルの浮気男は大別して2種類にわけられると思う。まずは、圧倒的に愛と自信が足りない男子。多くの男の人は自信がなくて終わりコンプレックスのかたまりだけれど、生い立ちやら過去の恋愛経験やら仕事の状態によって、愛情不足にも陥っていると、病的なほどの浮気心が育ってしまう。乾いた心を埋めようと、永遠に愛の旅人になっているように見えるのだ。それから、圧倒的にエネルギーのある男も、そのエネルギーに比例して多くの女性を求めがち。昔でいう「英雄色を好む」という例だ。けれど、単なるエネルギー過多なだけでもなく、彼らもまた愛情不足とあいまって、浮気癖へとつながっている気がする。
結局、程度の差こそあれ、浮気男は愛に飢えている--ということなの? もちろん、それだけが原因ではないけれど。
と、男の心理を推測、分析してみるものの、浮気を許すか許さないかは、女性次第だと思う。感情の生き物である女にとっては、「1度の浮気だって許したくない!」のが本音。
でも、一方では、浮気を糧に愛を深める方法もあるにはあるということを覚えておきたい。
浮気はカップルや夫婦にとって、最大の危機。だからこそ、それを乗り越えれば愛の深みにまでたどりつけることがある。歴史に名を残しているベストカップルたちは、往々にして「浮気」を糧に愛を深めている人たちが多い。
天才写真家に「唯一の女」と言わせた恋女房
参考文献その1 天才アラーキーの亡き愛妻がつづった愛と日常をめぐる珠玉のエッセイ集。 ドラマティックなのに、しみじみとした安らぎもある愛の形に憧れる。 |
アラーキーが電通の社員カメラマンだった頃、人事課の新入社員だった陽子さんにひとめぼれ。会社のスタジオに呼んで撮影したことから付き合いが始まり、数年後には結婚した。誰もが認める熱愛夫婦だったものの、ちまたの人妻から時代を代表する美人女優まで、エロティックなヌードを撮ることも生業だったアラーキー。女という生き物そのものを深く愛していた彼は、撮影対象の女性たちにしょっちゅうのめりこみ、時にはベッドをともにしながら撮影することもあったという。
陽子は彼の異才を愛するゆえに「それを認めたい」気持ちと、「もーイヤ!と 叫びそうになる」苦しみとが常に戦っていたという。
陽子さんの立場を想像してみる。もしも、自分の彼や夫が、仕事とはいえ、常に美人と触れ合っていたら? 芸術を生むことを理由に恋愛していたら?
たぶん、嫉妬に狂いそうになった夜は数えきれないほどあったはずだ。
それでも、陽子さんは、そんな彼の生きざまに「好奇心もあった」から、最後には許容していたという。浮気だけでない。破天荒なアラーキーを陽子さんはどんな時も受け止めている。
相手のためではなく、自分のために浮気を許す
参考文献その2。「私を写真家にしてくれたのはヨーコだった.」とアラーキーに言わしめた陽子さん。出会いから死の間際までを撮りつづけた作品. |
「この人と一緒にいれば、私は幸せになると思ったからだ」と著書の中で語っている。数々のエピソードからは、彼女の並みならぬ器の大きさや、人生を面白がる感性の豊かさが感じとれる。愛しているからこそ、相手に依存せずに、自分の意志で彼によりそおうと決めている。浮気を許すことも、相手のためではなく、彼と一緒にいたい自分のためなのだと自覚しているからこそ、強くなれたのかもしれない。
42歳という若さで陽子夫人が死しても、アラーキーは「陽子は、妻であり、愛人であり、母でもあった。オレが写真に打ち込める環境を作ってくれたんだ。オレの人生において女はヨーコひとりだった」と後に知人にもらしている。
まさに、困難を乗り越えて、深い愛情と器をもって彼を包み続けたからこそ、たどりつけた愛の境地だろう。
いい男は浮気をして当然?
参考文献その3。岡本太郎さんの身近にいて、その心に深く触れた敏子さんだけが語れる、「人間・岡本太郎」の魅力。 2人の愛がいかに深いか伝わってくる。 |
「岡本太郎さんは、世間からは威勢のいい、ただの乱暴者に見られていますが、実際は繊細で、小さい子みたいに一生懸命だから、放っておけないんです。可哀相で!」と彼の事務所の手伝いを名乗り出た。それは純粋で献身的な“相手に求めない恋”だった。
「愛している。好き。何かしてあげたい。それだけで十分じゃない」
圧倒的な才能と魅力を持つが、社会生活では不器用な太郎さんの手足となって、敏子さんは口述筆記からスケジュール管理までをこなした。全力で愛を向ける敏子さんに、太郎さんも全幅の信頼をおいていた。
2人は誰もが認めるカップルだったが、結婚という形はとらなかった。それは“瞬間の愛に生き、愛に依存しない自立性を尊重する”という太郎の信念を尊重したからだ。ジェントルマンでチャーミングな太郎さんはよくモテたし、他の女性とのロマンスの噂もたえなかったが、敏子さんは「素敵な男の子だもん。当然よ」とまったく気にする様子もなかったという。
愛する人が浮気をしても全然かまわないなんて、本音だろうか?
男女を越えた同志愛なら、浮気も許せる?
参考文献その4。天才芸術家、岡本太郎とそのパートナー岡本敏子さん。二人が残した激しく熱く純粋な、男が男のまま、女が女のまま、愛するためのメッセージ。どんな偉人の名言集よりも、生っぽくて、愛情深くて、核心をついている。必読です。 |
「愛してる」なんて言われたことなんて、一度もなかった
でもわたくしにはちゃんとわかってた。
「男と女を一番深く結びつけるのは同志愛でないのかしら。同じ目標に向かって協力して喜びも、痛みも、分けあっている。太郎さんとわたくしは、ずっと同志だった」
「愛する言葉」より
平成8年、84才で最愛の岡本太郎氏が息をひきとると「岡本太郎をもっと知ってもらってからでないと、死ぬわけにはいかない」と敏子さんはますます精力的に活動。絶版されていた太郎さんの著書を復刻させ、岡本太郎記念館を再建。
実際に、太郎ブームが再燃する最中、行方不明になっていた巨大壁画『明日への神話』をメキシコで発見して、その移送準備が整えた後、急逝した。
まさに、一心同体、ソウルメイトとはこのことだ。
そんな至高の愛の前では、浮気や嫉妬のドロドロも浄化されてしまうものなのかもしれない。
浮気男を変える唯一無二の方法
浮気男を変える方法は、ほとんどひとつしかないと思う。
正直、2人の女力は、一朝一夕で身につくものではないし、そこまで行くつくにはたくさんの葛藤と苦しみ、紆余曲折を味あわなきゃならないんだろうと思う。そして、そもそも目の前の彼は、それほどまでに愛せる男、頑張る価値のある男かどうかという根本的な問題もある。
けれど、困難も問題もない恋愛はないし、欠点のない人間はいない。今、目の前の彼を愛しているなら、浮気もふくめて彼のすべてを受けいれようと、自分の心身を鍛練してみるのもいい。だって、他人(男)を変えようとするより、自分から変わるほうが全然早いし、簡単だから。
そういえば、ある芸人さんがいっていた。
「もし、大なり小なり男に浮気されたのなら、それは女性側にも原因があると思う。頭ごなしに叱るより、男が家に帰りたくなる努力をするほうが早いですよ。女らしい洋服着るとか、外よりうまいメシ作るとか。何もせんと男をほったらかしにしておいて遊びに行ったらキレられるなんてあんまりです。愛が薄まって、もっと浮気したくなるよ」
ちょっと男の身勝手だなと思わなくもないけれど、気持ちはわかる!
浮気を乗り越えて、至高の愛を目指してみたい。
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