なぜ、結婚後の生活に、悩む人たちが多いのでしょうか?
大塚さんは、「長い付き合いを応援する」新宿のゲイバー「タックスノット」の店主でもある。 |
大塚隆史さん(以下、大塚さん):一般的に家族といえば、お父さんとお母さんがいて、お家があって、経済的に安定していて、子供がいてみたいな、条件のセットは提示されているけれど、それが具体的にどんな内容なのかに関してはきちんと語られないまま、ずっときているんですよね。だから、そのセットを手に入れたら、幸せも一緒に付いてくるはずだと、多くの人は思うんじゃないでしょうか?
結婚についても、「二人が協力し合って家庭を作り、そこに帰ってきたら、外側の荒々しい社会から守られるようなもの」と多くの人はイメージしていると思います。
ビジョンとしては、キリスト教的な結婚式の誓いの言葉にあるように、「その健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも……愛することを誓います」と知っている。でも具体的な内容となると、あまり考えられていないんだと思います。協力しあうって言葉は確かに素敵だけど、協力し合う態勢をどうやって作っていけるか、が抜けてしまっている感じかな。
「結婚」という制度のない、同性愛のカップルの場合は?
ガイド西郷:異性愛の場合は、幸か不幸か、結婚制度があるので、何となくそこにスッとハマってみたものの、道に迷っている人が多いのではと感じています。大塚さんの本の冒頭には、自身のゲイという立場から、「『ありきたりな生活』が簡単に手に入らなかったおかげで、二人の人間がありきたな生活を一緒に営むには何が必要なのかを真剣に考えることができました」と書かれていましたが、結婚という枠組みが用意されていない同性愛のカップルの場合はどうでしょうか?
大塚さん:ゲイやレズビアンは、結婚という枠組みには頼れないから、ひとまず好きだからという理由で一緒にいることを始めるわけです。