国際結婚の事情をよく知る著者
DV・モラハラ・熟年離婚 ― 自立に向けてのガイドブック『愛は傷つけない』 ノーラ・コーリ 著 \1,700(税別) 梨の木舎 |
著者のノーラ・コーリさんは、当 【国際結婚】サイトでは、おすすめリンクの海外出産・子育て情報ネット「Care the World」や、著書紹介記事「必読!『海外で安心して赤ちゃんを産む本』」でおなじみですね。
さらに
【子供のための英語】(「ノーラさん語る、帰国子女には日本は異国?」ほか)
【妊娠・出産準備】(「子育てしやすい国はどこ?」ほか)
などのガイドサイトの記事にも登場されている国際的なカウンセラーです。
ノーラさんは、お父様の仕事の関係で、小さい頃から日本~外国間での引越し・転校を何度も繰り返してこられました。その間、英語がまったく分からないという孤立体験をし、帰国後はいじめにあい、自分のアイデンティティーについて悩むなど、さまざまな経験をされています。
その後、ニューヨーク大学を経てカナダのトロント大学に進み、社会学と都市学を専攻してソーシャルワーカーの基礎を学びます。卒業後は日本で就職し、結婚。海外での出産体験を機に、国際医療ソーシャルワーカーとなって、海外で出産や子育てをする日本人女性の精神面、医療面、生活面、教育面でのアドバイザーとして数々のケースに携わってきました。
「夫に頼らざるをえず、帰国もままならない」
現在はニューヨーク在住で、世界中に住む日本人女性のさまざまな悩みや問題の相談にのっていらっしゃいます。ご自身が身をもって世界各地でいろいろな体験をされているだけに、異文化の中で私たちが直面する諸問題への理解が深いのです。それは前書きにあるこの一文からも感じられます。
「日本を出て、夫の国に嫁ぐことを決めた彼女たちは、文化、習慣、言葉の違いから夫に頼らざるをえず、まともな職業にも就けず、家族や親戚のサポートもなく、生活の基盤を移すことや子どもの将来を思えば帰国もままならない、という状況下で耐えています。」(「はじめに」より)
短い文章の中に、国際結婚の妻が置かれた状況が的確に表現されています。
私は読んでいるうちに、涙が込み上げてきてしまいました。このような悩みをもつ女性たちを、今まで少なからず見てきたからです。彼女たちは、結婚してから夫は変わってしまったと漠然と感じてはいても、夫の行為がモラハラやDVであるとの認識はもっていないことが多いのです。だから、ひたすら耐え忍ぶことでしか、現状に対処できていません。それで、なかなか根本的な問題解決にまで至らないのです。
この本をDV被害者のもとへ……