病院にて
1月6日、直美さんは1人で病院へ行きました。以前、流産した時に通っていたのと同じ病院です。早いうちに妊娠検査を何度もしたことについて話すと、先生には軽く流されてしまった感じでしたが(「そんなに早くに妊娠に気づく訳がない…と思ったのかなぁ」と直美さん)、いざ尿検査をしてみたら、ちゃんと反応が……。初期段階だったので薄い線でしたし、超音波で見てもまだ何も見えませんが、先生が「妊娠は確実でしょう」と言ってくれました。
10日後、超音波写真に赤ちゃんの姿が見え始めました。といっても、黒い楕円形に見える胎嚢(たいのう=赤ちゃんが入っている袋)の中に白い点が見えるくらいです。
しかし、そのわずか1週間後には、もうかなりハッキリ見えるようになりました。白い点は、直美さんによれば「ギョーザ」みたいな形になり、翌週の30日には心音がはっきり聞こえました。前回はそこまで育つことができなかったので、直美さんにとっては、初めて聴く我が子の力強い鼓動でした。
この日まで、直美さんは1人で病院へ行っていました。スコットさんも一緒に行くよと言ってくれたのですが、妙に力が湧いて、1人で確認しようと思ったそうです。すぐにスコットさんへ吉報をメールしました。
「前回のことがあったので、先生と私の間に細かい説明はいらず、ただ自然を待ち、受け入れるという気持ちでした。ただただ悲しかった去年の流産が、今回はどんな答えでも受け入れる力を私にくれたんだな、と解ります」
2月13日、さらなる驚きがありました。初めて2人で病院に行ったこの日、超音波写真を見ると、そこに写っているのは、もう「人」だったのです。スコットさん、「おお~っ!!」と感動の声。再び自分たちに授かった生命を実感できた瞬間でした。
超音波写真を手に先生と記念撮影 |
つわりは赤ちゃんが生きている証
この頃はまだ体内に異物感みたいなものがなかったため、病院に行くと超音波映像で赤ちゃんに会える気がしていたそうです。やがて、つわりが始まりました。つらいながらも、あると安心するという直美さん。それは赤ちゃんが生きている証(あかし)だから。前回は、つわりが止まったとたん流産してしまったので、どんなに気持ちが悪くなっても、そのほうが安心していられるのだそうです。
周りの人たちの言葉も安心材料の1つでした。
4人の子を産んだ直美さんのお母さんは、さすがの貫録で「大丈夫。生まれてくる(運命の)子はちゃんと出てくるから」と……。
スコットさんは、身体をどこかにぶつけたりしたら赤ちゃんに影響がないかと心配する直美さんに、「ナオミの体は大きなビルで、赤ちゃんはそのビルのなかでお風呂に入っているようなものだから、大丈夫」と……。
こうした周囲の励ましに支えられ、現在、赤ちゃんは順調に育っています。予定日は9月11日。無事に誕生することを心から願っています。
海の向こうでは次なるイベントの準備が……