国際結婚カップルの食生活についてお伝えしているシリーズです。
(個人のホームページに掲載したものを、All About 用に加筆修正してお送りしています。)
前回の記事、「国際結婚の食卓……妻たちの格闘」では、夫婦それぞれが育った食文化の違いから起こる問題について、実例をご紹介しました。小さな出来事のようですが、食事は毎日のことですから、積み重なっていくと、大きな問題になってきますよね。
解決するには、カップルそれぞれで妥協点を見つけていくしかないようです。
こんな例もあります。どうしても日本食を食べない夫
そのカップルは、ご主人がカナダ人、奥さんが日本人。お2人は、ご主人が日本に住んでいた頃に知り合い、結婚しました。
ところが、彼は5年も日本にいたのに、日本食が大嫌い。「味」や「食材」が嫌いというより、多分に精神的な「日本が嫌い」という気持ちが反映していたようです。
というのも、奥さんの話によると、彼は日本滞在中に不快な思いをすることが多く、ストレスいっぱいの生活をおくっていたとかで、そういった体験が「日本嫌い」「日本人嫌い」の気持ちを強めていったらしいのです。その延長線上での「日本食嫌い」ということでした。
そして、カナダに戻ってからは、日本食をいっさい口にしなくなりました。奥さんがどんなにおいしそうに料理しても、日本料理というだけで、空腹でも全く手をつけなかったといいます。
私にとっては、信じ難い話でした。
じゃあそもそも、そんなに嫌いな国の人となぜ結婚したの?という疑問がわいてしまいますが、その辺はプライベートなことなので、質問したことはありません。
ご主人は日本に住んでみたくて、仕事を見つけて行ったということなので、もともとはそれほど嫌いではなく、むしろ日本という国に興味を抱いていたのだろうと思います。
しかし帰国してからは、カナダ人の友達には妻が日本人だということを隠しており、彼が講師をしているあるクラスでは日本の悪口ばかり言っているとのことで、私はますます驚いてしまいました。
別の国際結婚している友人によれば、妻が日本人であることを隠すわけは、一部のエリート・カナダ人の間では、日本人と結婚している男性を軽蔑の目で見る人もいるから……なのだとか。夫は日本人女性ばかり狙う男(自分が優位に立てるので)のように思われ、妻は白人好きの軽い女という先入観で見られているのだそう。だから、エリート層とつきあいがあり、自分もエリート意識が高い男性の中には、日本人と結婚していることを隠そうとする人もいるそうなのです。
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