お役所仕事に怒りの30分
ここまでの登場人物は「窓口の人」と「私(ガイド)」と「夫」(ほとんど喋っていないけど)。ここからさらに「外国人手続き担当者」(当日不在)と、その人が休みだったため代理をしていた「担当者代理の人」が出てきます。(キャラクター情報を付け加えるなら、「窓口の人」はベテランらしきおばさま、「外国人手続き担当者」はこういう役所には珍しい華奢なお嬢様風の若い女性、「担当者代理の人」は普通の若い女性となっています)
ガイド:
「シャウエッカー」は、戸籍に記載されている表記なのにどうして通称名として認められないんですか?
窓口の人:
戸籍ではダメなんですよ。日常使われている給与明細表や封筒があればいいのですが。
ガイド:
でも主人は会社員ではないので給与明細表はないんです。あっ、そうだ! 国民健康保険証は「シャウエッカー」になっていますので、元の書類を調べていただければ……
窓口の人:
国民健康保険証もダメなんです。
ガイド:
はあ? だって、それも市役所の公式書類じゃないですか!? 戸籍も保険証も証明にならないって、自己矛盾していませんか?
(ここまで窓口の人はダメの一点張り。理由は明確にされないのだが、どうやら「コレはよくてコレはダメ」という内部基準があるらしい。でも、そのリストや書類らしきものは、いっさい提示されず)
(夫に何か持っていないか尋ねて)銀行の通帳とキャッシュカードがありました! 名義は「シャウエッカー」です。これだったら社会的に用いられているという証明になりますよね?
ここで、判断しかねた「窓口の人」から呼ばれた「担当者代理の人」登場。
担当者代理の人:
銀行の通帳でもダメです。宛名が書かれた封筒とかじゃないと。
ガイド:
ええ~っ? だって銀行ですよ。これで口座を開いているんですよ。どうしてこれで認められないんですか!?
(この「担当者代理の人」には、数々の疑問を投げかけてみたのだが、歯切れの悪い返事をくり返すばかりで、まったく埒があかず。たとえ代理であっても、仕事として担当しているのだろうに……)
名刺は本人のオーダーで作られたもので、第三者が認めた使用実績とは言えないため、やはり「通称名」の証明にはならないそうです |
分かりました。だったら、何がダメで何なら認められるのか、教えてください。出直すにしても、また無駄足に終わらせたくないので。
(ここでその「担当者代理の人」、ハッキリ返事をするでもなく、自分のデスクのほうへ行ってしまった。私は、規定が書かれた書類を探しに行ったのだろうと思い、そばで事態を見守っていた「窓口の人」と再び話すことに……)
窓口の人:
宛名が書かれた封筒が1通でもあればいいんですけどねー。
ガイド:
封筒だったら何でもいいんですか?(「はい」という返事) じゃあ、友達か誰かに頼んでこれから出してもらっても、それで証明になるんですか?
窓口の人:
(ちょっと言い渋りながら)あまり大きな声では言えないですが、一応それで認められることにはなっているんです。
※自治体によっては、個人が出した郵便物、キャッシュカード、預金通帳、手書きの書類などは確認書類に該当しないケースもあります。
(う~ん、お役所という所はよく分からん。形だけ整えば、それでいいってことか? この時になって、先ほどの「担当者代理の人」が、戻ってくる気配がまったくないことに気づく。なんてこと! こんな人のお給料が我々の税金から支払われているかと思うと、本当に腹立たしい)