両親と死別のタイ人少女メビサさんの在留資格問題
今月初め、こんな出来事がありました。都内に住むタイ人の中学1年生、吉田メビサさんは、母国タイで両親と死別し、タイ国内には育ててくれる人がいなかったため、日本人と結婚していた父方の祖母を頼って2003年2月に来日しました。そのときは「短期滞在」の在留資格で入国。日本の小学校に通い始めたのです。
その後、祖母夫妻と養子縁組をして、「定住者」としての在留資格を2度申請していました。
しかし、東京入国管理局はこの申請を却下。「養子を理由にした定住資格は6歳未満にしか認めない」という規定があったからです。「定住者」の在留資格が得られないまま、「短期滞在」の資格が切れる7月7日午前0時が迫っていました。
このままでは強制退去させられてしまうかもしれないと、メビサさん側は処分取消を求めて東京地裁に提訴。同時に、学校関係者など約6000人の署名が入管に提出され、メビサさんの定住資格を求める声が高まっていました。
この時点で、テレビなどで大きく報道されたことから世論も動き、期限ぎりぎりの7月6日、野沢太三法務大臣が、人道上の配慮からメビサさんが日本に定住できる方法を検討するよう法務省に指示。東京入国管理局はメビサさんの在留期間を3カ月延長し、今後はタイに扶養者がいないかなど親族の状況を調べ、「定住者」の資格への切り替えが可能かどうかを判断することになりました。
素朴な疑問
このニュースを聞いて「えっ?」と思われた方も多いでしょう。なぜ本当のおばあさんが日本人と結婚して日本に住んでいるのに、実の孫のメビサさんが日本に住むことを許可されないのか……。
なぜおばあさん夫妻と養子縁組をしているのに「定住者」の資格が与えられないのか……。
私も疑問に思い、調べてみました。