今までのお話は「<前編>親戚の猛反対を乗り越えて」、「<中編>夫と母の板ばさみで苦悩した日々」をお読みください。
■レポート用紙3枚にギッシリと……
最初の頃、ご主人とお母さんがうまくいかなかったり、お互い相手に求めるものが噛み合わなかったりして、戸惑うこともありましたが、夫婦としての年月が重なっていくと、自然と相手の呼吸をつかみ、押したり引いたりの加減が分かってくるものです。
そして、それぞれのカップルならではの“夫婦のあり方”や“夫婦のかたち”が、できあがってくるのではないでしょうか。
さて、Y子さんたちは……?
妻と夫のバランス加減はどんな感じだったのでしょうか?
「私が日本人だから『まあ、しょうがないか』って全部自分が引き受けてしまうところがあるんです。だから、ある意味で主人は心地よいと思いますよ。
これがアメリカ人の奥さんだったら、お互いの自己主張で、ものすごくぶつかり合うと思う。まあ私も自己主張をするほうですけどね」
結婚相手として日本人をと考えていたご主人について、Y子さんは、日本の女性はすごく面倒をみてくれるというのが意外と心地よかったのではないか……、と分析しています。
しかし、いざ夫婦になると、結婚前とは言ってることや態度が多少変わってしまうのは世の常。
Y子さんたちもこんなことがありました。
「結婚して初めて、長野の親戚のところへ2人で挨拶に行ったんですよ。そうしたら、こっちは“お客さん”だから、もう至れり尽くせりで、なんでも女性がやってくれて……。それがとってもよかったんでしょうね。そのあとモメましたよ。『君はやってくれない』って(笑)」
その前の恋愛期間中は、“ままごと気分”でいろいろやってあげたりしていたそうですが、急に結婚することになり、Y子さんもまだ仕事を続けていたため、忙しくて以前のようにはできなくなってしまったそうです。
すると「あの頃はやってくれたのに、今やってくれない。君は変わった」となってしまい、またそれでケンカをすることに……
「レポート用紙3枚くらいに、英語で “僕はこういう結婚生活を望んでいる”って、ダーッと書いてきたんですよ」(2人爆笑)
思わず笑ってしまいましたが、彼が真剣なのはとってもよく分かります。
結婚1年目くらい、Y子さんが残業で夜遅くなることが多かった頃のことでした。