「言葉も文化も習慣も違う2人が、長い人生、これから先々うまくやっていける訳ないやないの」
「親に黙って婚姻届出して、子供までつくって。オーストラリアに住むからいうて仕事まで捨てて‥‥。和宏は長男なんよ。田中家の墓、誰が守るんよ? ここまで親をバカにして‥‥」
「オーストラリアの女に日本人の心の機微が分かる訳ないやないの。外国の女の人に『お茶いかがですか?』って聞かれて『あ、けっこうです』って言ったら最後、何も出てけーへんよ。『まあそうおっしゃらずにどうぞ』って出すのが、日本人の文化ってもんでしょう。そんなもん気づかんような人たちと、どうやってつきあえばええっちゅうんよ」
親の側からだけの言い分のように聞こえますが、これらの言葉の中には、親が子供を心配する気持ちがさまざまに現われています。
まず、息子の男としての人生を心配し、言葉や文化の違いを心配し、自分と相手の家族、つまり両家がうまくやっていけるかを心配しているのです。
みなさんのなかにも、似たようなことを親御さんから言われたことがある方がいるかもしれませんね。
ドラマの中の第三者の意見もなかなか参考になります。
木葉の店の料理人・小室は、当たり前のことだと言います。別れた妻の元に中学生の娘がいる彼は、娘のことを思ってか、親は誰でも子供には苦労させたくないと思うもの、自分も反対しますと言いきります。
共同経営者の聖子は、国際結婚って親は心配なのよねと、やや道代に同情気味。
それを聞いて木葉も、自分の娘がいきなりあんなふうに連れてきたら、やっぱり怒るのではないかと思い始めます。
そうです。息子・和宏のまずかった点は、いきなりすべてのことをいっぺんに報告したことです。外国の女性とつきあっていること、入籍、妊娠、海外永住‥‥。これらを一度に知らされたら、親は誰だって卒倒してしまいますよね。しかも、もう入籍を済ませてしまったというのですから、道代おばさん夫婦にとっては、相当ショックだったと思われます。
和宏にしてみたら、これが作戦だったようで、もうラウラのお腹に赤ちゃんがいるということと、みんながいる所で言ったほうが道代も人目を気にして冷静になるのではと目論み、なし崩し的にすべてを一気に許してもらおうと思っていたようです。しかし、内容が内容ですからねえ‥‥。