「お国柄で違う恋愛・結婚スタイル」で書いた、あるスイス人と日本人のカップルのエピソードがきっかけで、スイスの恋愛・結婚スタイルをリサーチしてみることにしました。
話をうかがったのは、30歳を目前にした独身ビジネスマンM氏。チューリッヒで生まれ育ち、現在はベルンでスイスを代表する電話会社にお勤めです。カナダに留学経験もあります。
事前にM氏からこんなコメントが……。
自分はチューリッヒという都会で育っているし、リベラルな考え方をするほうなので、他の文化圏や地方に住んでいる人たちはもっと保守的かもしれない、とのこと。「お国柄で違う恋愛・結婚スタイル」にも書いたように、スイスには言語によって大きく3つの文化圏があり、それぞれで踏襲している文化や慣習が異なるのです。
一応、彼の個人的なご意見と一般的なスイス人の傾向と、両方を念頭において答えていただきました。
■まずは交際中のデートについて
Q:「デートではどんなところに行きますか?」
A:「食事したり、飲みに行ったり、ダンスや映画を見に行ったりします。スポーツ観戦はちょっと違うかな。同性の友達と行くほうが多いですから」
Q:「デートの時はどちらがお金を払いますか?」
A:「昔は男性が払うほうが多かったかもしれないけど、女性が職業を持つのが普通になった現在では、ワリカンにすることのほうが多いんじゃないかな。毎回ではなくても、たとえば今回は男性が払ったから、次回は女性とか。あんまり男性ばかりが払っていると、女性のほうが怒ったりしますよ(笑)。お互い仕事を持っているし、収入もあるから、対等だという意識が強くなってきているんでしょうね。
もちろん、誕生日とか記念日とか、何かのお祝いで片方が招待する形になる時は別ですけど」
「そういえば、カナダで一つ驚いたことがあるんだ」とM氏。
「スイスでは、付き合っているか、お互いに好意を持っている男女が、待ち合わせして一緒に出かけることを“デート”って言うんだけど、カナダでは違うんだよね。別に“好き”という感情がなくても、男女が一緒に出かければ、それが“デート”。このニュアンスの違いに、最初はとまどったよ。小さなカルチャーショックだったね(笑)。
ところで、日本はどうなの?」
私「日本もスイスと同じですよ。やっぱり付き合っている2人か、お互いに何となく好意を持っている者同士が、約束して会うことを“デート”と言います(初デートの初々しい頃を思い出し、なぜかテレる私……)。
普通の男友達や仕事上の知り合いの男性と食事する時などは“デート”とは言わないですね」
時々ジョークで“今日はおじさまとデートなんだ~”なんて言ったりもするけど、こういう場合はたいてい“アポがある”とか“人に会う”という言い方をしますよね。