ただでさえ、鬱陶しい。そばがくっついて、憂鬱。


じめじめとした梅雨は、ただでさえ鬱陶しい季節である。プロアマを問わず、手打ち蕎麦を打つ人たちにとっては、加水率に大いに悩んでしまう憂鬱な季節でもある。

手打ちそばは、適切な加水率を用い、正しい手順で水と粉をあわせれば、最大の難関である第一段階を突破する。この「水回し」の工程さえきちんとクリアできていれば、その後の工程がぐっと楽になるのは「公理」といえる。

あくまでも目安としての値でしかないが、そばの加水率は、粉の量の45%内外が基本である。粉の部位、状態、鮮度、環境湿度、碾かたなど、様々な要素が複雑にからみあって、最終的な加水率が決まる。それゆえ、常に自分で加水率が適切に決定できるということは「蕎麦打ち人」を自称する上において欠かせない基本技術なのである。


打ちづらい時期は、一年に2回


かなりの打ち手にとっても、そばが打ちづらい時期が、一年のうちに2回やってくる。

まず、直感的に打ちづらいのは、冬場の乾燥している時期である。玉も、手のひらも、なにもかも速攻で乾いていって、とてもせかされるような心持ちがするものだ。だが、この時期であろうとも、所期の水回し仕様がきっちりと満たされていれば、懼れるにはあたらない。ちゃんと対処すべき方法がある。この時期の打ち方については、来年の正月があけたら触れてみようと思っている(鬼が、嗤うなぁ)。