大江戸めん祭りは、個人的にとても楽しめたイベントであった。そばに関わる業界人としても、そばという文化を楽しむイベントとしても、特筆すべきものがあったように思う。
各地の名物そばを一堂に介した模擬店も壮観であった。しかし、こちらは所詮模擬店であり、万全の条件での提供とはいえなかった。でもまぁ、祭りなのである。こんなものでしょう。上出来であったのではないか、というのがMy総評である。

さて、会場内で群雄割拠の態をなしていた一般模擬店とは画然と異なる、暸かに格上の飲食スペースがあった。それが、主催者によるテーマ館「大江戸庵」なのであった。ここは素人名人戦の最終戦が繰り広げられた蕎麦界のK1特設リング((笑))でもあったわけなのだが(後日詳報)、会期を通じて、このように江戸のそばを忠実に再現して提供するテーマ館として機能していた。

そばの源流…江戸のそばとは、、興味津々です。早速ガイドはテーマ館に走りました。

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▲打ってます、打ってます、1kg玉のようですね

大江戸庵は、さまざまな打ち手が入り乱れて、彩り豊かなそばを提供していた。こういうところは、お祭りらしくて楽しいですね。店舗の一番奥が打ち場となっていて、入店してお客様は、手打ちの様子を自由に見学できるという趣向であった。

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▲これがウワサの「せいろ・蒸しそばセット」800円

左のせいろに乗っているのが「蒸しそば」である。右の戸隠型のざるに乗っているのが「せいろ」である。え!? ちょっとまぎらわしいって…然りですね(笑)。お祭りなのにこの構成で800円というのは、良心的な設定かな。

その昔、そばはとても脆く・切れやすいものであった。それゆえ、和菓子のセイロを使って蒸して提供していた時代があったそうな。
実は、ワタクシも蒸しそばを以前に取材しております。打ち刃物の街・大阪の堺で、そのそばは奇跡的に動態保存されているのでした。ご興味のある方は、この記事「ちくま:ナニワ方面で昔のそば」をお読みください。

さてそのお味のほどは、うまく説明できませんが、蒸すというプロセスは素材の個性を引き立てないプロセスなのでありまして、そばが、さらにヘルシーな雰囲気の食感におさまっていくのであります。というわけで、いまのおそばとは、かなり違ったものであることをお伝えしておきましょう。

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▲蒸しそばをいただこうとすると…れれれ

蒸しそばですので、麺線が一本一本粋にパラリとはいきませんようで、箸を使うとこの通り。全体が持ち上がってきてしまいます。

箸でなんとか捌いて、甘辛い汁にどぷっと漬けていただくと、丁度いい感じかな。ところでこの汁、ノーマルのそばをたっぷりつけるのはツライ濃度だなと思いました。「どこの汁ですかぁ?」と主催者の某そば店主さんに尋ねたところ、「ナイショだけど、御三家の一番大きいお店」と教えてくれました。なにしろ、会期中の全食分を用意したわけです。生返しの準備を考えると、半年以上も前から計画的に準備をしたことになりますね。

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▲昔の薬味なのだそうです

酸橘に生姜です。もしかして、これ夏バージョン?季節のない現代と違って、江戸時代は大根や葱などが通年にわたって提供される筈はないですから…。これは主催者の別の人に解説をもとめたところ、文献は本部のほうにあるそうなので、そちらで尋ねてくださいと言われてしまいました。残念っ。これは興味がもてますので、ガイドの宿題にします。ワタクシも調査することにしましょう。
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