素材を重視し、高い技術を込めた料理たち
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前菜はマリネしたサンマとキュウリのスープ仕立て |
アミューズはシラサ海老のフリット。海老の唐揚げ×3です。塩加減や揚げ方が絶妙です。続く前菜は、“マリネしたサンマとキュウリのスープ仕立て”です。色あざやかなキュウリのスープの上に、焼き茄子を浮かべ、その上にサンマでくるっとキュウリのジュリエンヌ(細切り)を巻いています。一番上には京都・亀岡産のクレソン。これもストレートな味わいです。口に入れた瞬間は、ややキュウリの青臭さが立ってしまいますが、それぞれの素材はおいしい。欲を言えば、このキュウリに負けないような、香ばしい素材がひとつあればなお良かったかなと思います。
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油目のグリエ ハチミツ風味のシャンピニオンのソース |
次は魚料理、“油目のグリエ ハチミツ風味のシャンピニオンのソース”です。つけ合わせはかぼちゃのニョッキにパルメジャーノをかけたもの。魚といえばソテー(バターで炒め焼き)、やポワレ(蒸し焼き)、ロティ(オーブンでの加熱)などが多いのですが、グリル(網焼き)は少し珍しいですね。別名・アイナメとも呼ばれるアブラメ。その皮目にくっきりと刻まれた網の跡が、余計な脂分を落とし、うまみを引き立たせていることを主張しています。ソースはやや酸味が立っていたと思いますが、うまみは十分。ニョッキも、もっちりとした食感で味のぼやけそうなところを、パルメジャーノの塩気で引き締めています。
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りんごのシャーベット |
魚と肉の間には口休めのグラニテが出されます。5,000円台のコースで魚・肉の上に、ここまで出してくるのが嬉しいですね。中身はりんごのシャーベット。シードル(りんごのお酒)を少し足しているので、その揮発香がさらにりんごの香りを強くしています。口当たりもなめらかで、舌に乗せた途端になくなってしまう。そのなくなる瞬間に蒸発していくアルコール分が口をすっきりさせてくれる、グラニテとして最高の一品と言えるでしょう。
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