スペシャルティコーヒーとは?
この10年間で世界のコーヒー事情は激変しました。その立役者はスペシャルティコーヒー。ワインを評価する言葉だった「テロワール」が、コーヒーの世界でもよく聞かれるようになりました。
従来のコーヒーは、産地も品種もごちゃ混ぜで流通しており、豆の規格やブランドイメージといった味以外の基準に基づいて価格が決められていました。ブルーマウンテンという銘柄が日本で作られた神話だったことは、最近よく知られるようになりましたね。
あいまい、かつ主観的にすぎなかった評価基準に革命をもたらしたのがSCAA(アメリカスペシャルティコーヒー協会)によるCEO(カップ・オブ・エクセレンス)の品評会。世界各国の審査員が統一基準に基づいて、コーヒー豆の厳密なテイスティング(カッピング)を実施します。
【日本スペシャルティコーヒー協会のカッピング基準】
○フレーバー
○透明感
○口にふくんだときの質感(コク)
○酸の質
○甘さ
○あとあじの印象度
○バランス
○総合評価
審査の結果、平均点84点以上を獲得した豆だけがCEOを名乗ることができます。稀少なCEOはオークションにかけられ、コーヒー業者に落札されて私たちの手元に届くのです。特にハイスコアだった豆は高値で落札。ここではおいしさと価格は比例し、またトレーサビリティが確立されて優秀な農園と生産者が明示されています。
スペシャルティコーヒーとは、狭義にはこのカッピングで基準以上をマークした高品質の豆を指すといえるでしょう。
※もう少し詳しく知りたいかたは以下のサイトをご参照ください。
○スペシャルティコーヒーとは? [BEANS COFFEE SALES]
○スペシャルティコーヒーとは? [大阪スペシャルティコーヒー倶楽部]
(このサイトの「スペシャルティコーヒーの歴史」は現在にいたるまでの流れがわかりやすくまとめられています)
最近は街角のカフェでも、スペシャルティコーヒーにお目にかかる機会が増えてきました。次ページで、これまでに取り上げたカフェの中から何軒かピックアップしてご紹介します。
スペシャルティコーヒー至上主義?
忘れないでおきたいのは、スペシャルティコーヒーだけがおいしいコーヒーではないということ。素晴らしいワインが、グランクリュ(最上級の格付け)の畑以外からも生産されているように、素晴らしいコーヒーは品評会に参加しない農園でも生産されています。
スペシャルティコーヒーは、おいしいコーヒーを選ぶ強力なものさしのひとつ。ものさしはひとつだけではなく、複数あったほうが素敵ですよね。スペシャルティコーヒーという名前が一人歩きを始めると、ブランドの看板だけでモノを選んでしまい、モノの価値を自分自身できちんと見つめることを怠るという旧弊に逆戻りしかねないと思うのです。
私たちは自分の味覚を磨きながら「これは本当においしい?」と、コーヒーに向かって、また自分に向かって、楽しみつつ問いかけることにしましょう。