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真狩村のコンフィチュール職人(3ページ目)

北海道の小さな村にひとりで素晴らしい果実のジャムを作っている女性がいます。フランスに渡り、クリスティーヌ・フェルベールさんのもとで修業した彼女に、おいしいジャム作りの秘訣をうかがいました。

川口 葉子

執筆者:川口 葉子

カフェガイド

フェルベールさんから学んだこと

マッカリーナ勤務後、フランスに語学留学した鈴木さんが働くことになったのが、“コンフィチュールの妖精”と呼ばれるマダム・クリスティーヌ・フェルベールのお店。

パリの有名シェフたちがマダム・フェルベールの作るコンフィチュールをこぞって賞賛したことから世界中に名を知られるようになっても、種類豊富な果物を産するアルザスの小さな村でこつこつと手作りを続ける彼女の姿勢は、一貫して変わらなかったそうです。何よりも優先されるべきは品質であり、効率化や合理化ではなかったのです。

ラ・ベル・コンフィチュール・マサコ

そんな職人的なもの作りの精神も、鈴木さんがフェルベールさんから受け継いだ大切な教えのひとつ。
「もうけようと思ったら、ああいうコンフィチュール作りはできません」

ひとりで作っていくという決意

しかし鈴木さんは同時に、共同作業によるコンフィチュール作りの困難さにも直面することになります。

「たとえばクリスティーヌがみんなに『1個のイチゴを4つに切りなさい』と指示したとき、小さなイチゴも大きなイチゴも同じように4等分する人もいれば、小さなイチゴは4つに、大きなイチゴは6つに切る人もいる。そのばらつきをクリスティーヌに指摘すると、『それはよくわかっているの。でもね』という答えが返ってきました」

何人ものスタッフを使って作業をする以上、すべてが自分と同じやり方になるよう完璧にコントロールすることはできないのですね。許容する幅を決めておいて、その範囲内であればよしとするしかありません。

「私自身は、そういう部分に目をつぶって他のスタッフと一緒に作ることはできないと思いました。だからどうしても、ひとりで作っていくしかないんです」

入手困難との声も聞こえてくるラ・ベル・コンフィチュール・マサコの品々ですが、大量生産に切り替えないのは、自分が納得できるクオリティにこだわる鈴木さんの考えの表れでした。

▼銅製の大きなお鍋を見せていただきました

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