フェルベールさんに学んだコンフィチュール作り

北海道の南西部、羊蹄山のふもとの小さな村に、素晴らしいコンフィチュールをひとりで作っている「ジャム職人」がいると聞き、粉雪の舞う新千歳空港に降り立ちました。

人口わずか2300人あまりの真狩村(まっかりむら)。La belle confiture masako(ラ・ベル・コンフィチュール・マサコ)はこの村のはずれ(…と言ってもあたりは一面真っ白で、どこが村の中心部なのか私には判断できませんでしたが)に建つ一軒家のキッチンから、季節の果実のおいしさを凝縮したコンフィチュールを生み出しています。

ラ・ベル・コンフィチュール・マサコ

職人の名は鈴木方子さん。鈴木さんは5年前にフランスに渡り、アルザスの小さな村からコンフィチュールの世界的流行を生み出したマダム・クリスティーヌ・フェルベールのもとでコンフィチュール作りを学びました。

鈴木さんが作ったオレンジのコンフィチュールの印象は鮮烈。濃い金色に輝くコンフィチュールを舌にのせた瞬間、「ぎゅん!」と音が聞こえたような気がしたのです。
それは太陽をふんだんに浴びて育ったオレンジの果実がお鍋の中でぎりぎりまで旨みを凝縮され、瓶に詰められていたのが、舌の上でゆるんだ瞬間にためこんでいた果実の力をいっきに爆発させた音だったに違いありません。

「ひとりで作っていますからたくさんはできませんし、予定はすべて果物しだい。毎月、売り切れたら販売終了です。何軒か私のジャムを扱ってくれているお店もありますが、それらはみな友人が私の作り方をよく理解して、商売抜きで置いてくれているものです」

飾らないけれど手応えのある言葉でお話を聞かせてくださった鈴木さんの姿に、ひとりで田舎暮らしをしながら多くの人の心をとらえるものを生みだし、それによって周囲の人々や広い世界と繋がり、村に活気を与えているというひとつの理想的な生き方をかいま見る思いでした。

▼田舎で作ること、ひとりで作ること、果実のおいしさをそのままに