ワイン/ワイン産地と生産者のレポート

スペインの極上白:リアス・バイシャス(2ページ目)

なんとなく「スペインワインは赤がウマイ」と思っているあなた。ガリシア州のリアス・バイシャス地区は、旨い白ワインの宝庫ですぞ!

執筆者:橋本 伸彦

魚介や肉との相性も良好

『タスマニアサーモンのコンフィ ライムとオレンジ香るギリシア風野菜を添えて』
続いての料理はサーモンのコンフィ。ソースをあしらった野菜が添えられているため、合わせるワインには少し味わいの複雑味があったほうがいい。

この料理に合わせた4番目のワインは、テラス・ガウダ社が造る「テラス・ガウダ」2008年。ブドウ品種はアルバリーニョを7割使用し、ロウレイロ2割とカイニョ・ブランコ1割を加えている。

ロウレイロはこの地方でロウレイラとも呼ばれ、月桂樹(ローレル)のような香りに由来する名である。これらはアルバリーニョとブレンドするのに定番品種である。ここまでの爽やかなワインから一転して、テラス・ガウダの白は少しソフトでコクがある。リアス・バイシャスでは珍しく、粘板岩が混じった土壌の畑だという。

『手長エビのグラチネ スタッフド・マッシュルームとリー・ド・ヴォーのソテー エシャロットのソース』
次に「手長エビ」ことアカザエビの身を焼いたものは、旨味や油脂がたっぷりした素材を組み合わせた皿である。これに5番目のワイン、パソ・ポンダル社のワイン「レイラ」2007年を合わせる。柔かく熟した果実味たっぷりなこのワインは、わずかに酸性の砂質土壌で栽培したアルバリーニョのみ使用する。

『仏ラカン産 ホロホロ鳥のロースト りんごと胡桃のソテー ジュとオリーブのソース』
主菜のホロホロ鳥ローストにはさらに、胡桃やオリーヴといった油の風味が豊かなものが添えられている。これに合わせて6番目のワイン、ボデガス・ラ・バル社の「フィンカ・デ・アランテイ」2007年を飲む。黄金色を帯びた色合い、熟した果実味に溶け合ったとろりとバター的な風味。酵母が発酵を終えて沈んだ「澱」から引き出された風味がある。しっかりとした酸味でキレがいい後味だ。

『ハイビスカスのヌガーグラッセ 赤い果実のサラダ』
デザートはハイビスカス入りヌガーを冷やし固めたもの。一緒に味わうワインは7番目のボデガス・ルスコ・ド・ミーニョ社「ルスコ」2006年。この組み合わせは快適で、新鮮で力強くバランスがとれたワインがデザートの風味と調和し、エレガントな後口を残す。

さてここまで、多皿コースと共に白ワインだけを7種類飲んだ。しかも4番目を除いてすべてアルバリーニョだけで造ったワイン。ところが退屈するどころか、リアス・バイシャスの豊かな個性そして多様性を発見することができた。フレッシュなアロマと酸味が豊かでアルコール度数は控えめ、そして米や魚介そして白身肉に合うのがリアス・バイシャスのワイン。おまけにフルボトルの実売価格が1000~2000円台中心とあれば、これは手頃で重宝しそうである。お買得ワインが好きなあなたなら、リアス・バイシャスの名は覚えておいたほうがいいだろう。

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