ワイン/ワイン産地と生産者のレポート

ブルゴーニュで会ったこの人のワインを飲む(4ページ目)

ブルゴーニュの現地取材で、この地方屈指の銘醸地ヴォーヌ・ロマネ村のワインを造る生産者たちに会った。じっくりと飲みたくなったワインを造っていたのは、こんな人たちだった。

執筆者:橋本 伸彦

「尊重」こそすべて


「私の哲学? 『尊重すること』ね。それが全てよ」と言い切るのは、アンヌ・グロさん。上質ワインを造る生産者が何軒もいるグロ一族の中で、とりわけ精緻なワインを造る。「土地を尊重し、ブドウを尊重し、ヴィンテージを尊重するの。男性と女性もお互いに尊重することが大事でしょう?」と笑顔で語る。

2006年を幾つか試飲させてもらう。ベーシックなブルゴーニュは上品でクリア、滑らかで熟した果実味がある。ほんのりと柑橘類のような爽やかな香りが感じられるのも含めて魅力的である。次にクロ・ヴージョ(特級畑クロ・ド・ヴージョの別名)を味わうと、はるかにどっしりとした風味だが純粋で深みがあり、ミネラルウォーターに感じるようなミネラル感も。そして偉大な特級畑リシュブールは、ぴりっとスパイシーな感じを始めとして若く力強い要素が出ている。2006年もかなり上出来だ。

シンプルでスタイリッシュなラベルは、ワインの味わいを思わせる。クロ・ヴージョのラベルに「ル・グラン・モーペルテュイ」とあるのは彼女の区画の名前

醸造方法について訊くと、梗(こう:ブドウの房の枝のような部分)は全て取り除いて醸造するとのこと。梗を入れたほうが良いとか、部分的に残すという人もいるのだが、「オレンジジュースを作るときに、皮は入れないでしょう? 私は梗を入れてベストなワインを造れるとは思わない」と、自分の信念に忠実である。

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