ワイン/ワイン産地と生産者のレポート

ジャクジーから愛を込めて:クライン(5ページ目)

泡立つ風呂『ジャクジー』を発明したジャクジーファミリーの子孫が、カリフォルニアで造るワイン『クライン』。コマーシャルで話題になった、カリフォルニアのワイナリーを訪問。お値打ちワインの試飲レポートも。

執筆者:橋本 伸彦


なんと一番人気のカリニャン古木

2005 Ancient Vines Carignane (Contra Costa County)
ここからはクライン名物、古木のブドウを使ったワイン3種を並べた。一般に古木のブドウは収量が下がり、凝縮感が増す。英語圏で通常は『OLD VINES』と表示するが、この言葉が乱用されている感がある。そこでクラインは100年近くの古木を使ったワインに『ANCIENT VINES』と書く。エインシェントとは「古代の」「年老いた」といった言葉で、「よそでオールドと言っているよりずっと古い」という意思表示である。

『エインシェント・ヴァインズ・カリニャン』2005年は圧巻だ。ボディも分厚くなめらかな舌触りで、しっかりとした酸味も含んで全体に力強い味わいが、長い余韻につながる。一般のカリニャン種によくある酸味やプラム風味が突出した所がない。フレンチオーク樽(新樽は約35%)で8ヶ月熟成させている。

さらっとしたムールヴェードル古木

2004 Ancient Vines Mourvedre (Contra Costa County)
『エインシェント・ヴァインズ・ムールヴェードル』2004年は、よりスムーズである。やや酸味の効いた、だが良く熟したアメリカンチェリーのような果実味がさらさらしており、ちょっと鉄サビや獣のような熟成香というムールヴェードルらしさもある。このキュヴェはブドウの圧搾を優しく行なって、潰れず丸ごとのブドウ果が多く残るようにして発酵させている。深めにトーストしたアメリカンオークの樽(新樽が約25%)で10ヶ月熟成させる。

このページのワインに共通するのは、ブドウ畑の地域がサンフランシスコ湾から内陸へと東向きに流れ込む風で冷やされ、気温が上がり過ぎないことである。さらにどれも、通常は軽く潰して発酵させるブドウを大部分、粒のまま残し全粒発酵させている。質の高いブドウの香りを、生き生きとワインに残すための造りである。

ジンファンデル古木はふくよか

2005 Ancient Vines Zinfandel (California)
 さてこれらの古木は、ここ1世紀以上ブドウ栽培者を悩ませているフィロキセラという虫害をいかに乗り越えたのか? これは畑の砂質土壌が幸いしている。フィロキセラという虫は、砂地には住みにくいものなのだ。植え替えや接木なしで100年近い樹齢のブドウが生き延びて、しかも現役でブドウを実らせているのはなかなか貴重なことである。

カリフォルニア名物のジンファンデル種を使った『エインシェント・ヴァインズ・ジンファンデル』2005年。ステンレスタンクで発酵させ、熟成はアメリカンオークの樽を使う。味わいはふくよかでよく熟した果実味がジューシーだ。樹齢が高いだけあって厚みがあり、心地良いスパイシーさが果実味とうまく釣り合っている

『大決壊』の畑が生む最高峰ワイン

2005 Big Break Zinfandel (Contra Costa County)
クライン自慢のジンファンデル最高峰キュヴェ『ビッグ・ブレイク』2005年。85年前に堤防が大きく決壊(ブレイク)して洪水となった。そこの畑で樹齢80年以上というブドウが、最上質のジンファンデルを生むのである。

飲み口からしてカッチリと濃密なフルボディ。乾しプラムやブラックベリーのようなしなやかな果実味と力強い酸やスパイス感が詰まっている。まだ5年は熟成してまろやかさを増しそうだが、今でも味わいの余韻は長い。これも試飲会参加者が特に気に入ったアイテムであった。

さて、クラインのワインをテイスティングした人は、きっとひとつの疑問が湧くことだろう。どんな人がこれらのワインを造っているのかである。

これらのワインを造った醸造家は?>>
  • 前のページへ
  • 1
  • 4
  • 5
  • 6
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます