謎のワイン

年末年始に何を飲むか? ワイン好きにとって、楽しくも悩ましい季節である。取って置きのボルドーやブルゴーニュ、シャンパーニュで皆を瞠目させるのもいい。だが、古典的なものばかりでもつまらない。ここはひとつ、新世界から個性的なワインをお勧めしたい。合わせる料理のヒントも同時にご覧頂けるはずである。

カリフォルニアのナパ地区にニュートンというワイナリーがある。ここのワインを利いたときのこと。一瞬だが、戸惑った。濃いなら濃い、薄いなら薄いといった単純な評価では割り切れないものがあった。強いて言えば濃いのに濃すぎない、不思議な充実感があった。そして、おおらかでありながら細心のバランス。誰がこのワインを造っているのか? 私は興味を持った。


ニュートンのワインでランチ

「こうして回してみて。香りが立つわよ」とニュートン氏
香港の街をはるかに見下ろす、グランドハイアットホテルのチーフ・エギュゼクティヴ・スイートという特別室。ここで醸造家やジャーナリストと共に、ニュートンのワインを味うランチが開催された。ワイナリーの創立者であるニュートン夫妻の奥さんとともに、ワインに料理を合わせる趣向である。

実はスー・ホア・ニュートン氏、ココ・シャネルのモデルを務めたことがあり、医師でもある。かなりユニークな経歴の持ち主だ。最初の挨拶から気さくなキャラクターとストレートな発言で人々を魅了。彼女のトレードマークとなっているゴージャスなブランドものの服も、なんなく着こなしている。醸造家は別にいるのだが、彼女は自身で長靴を履いて栽培や醸造の現場で働いているそうだ。

いろいろと話を聞いてみる。「カリフォルニアのワインってほら、顔にばんとぶつかってくるみたいなのが多いじゃない? わかる? インパクトが強いのよね。私はもっとエレガントなワインが造りたかったの。ブルゴーニュのワインが好きだし」なるほど、味の謎が解けてきた。カリフォルニアの上質なブドウを使って、ブルゴーニュの上品でエレガントなスタイルを目指したという訳か。