「パンとエスプレッソと」のパン
「パンとエスプレッソと」のパン職人、 櫻井正二さんは、「日本のハード系パン」をテーマにパンを焼いています。日本のハード系?「皮が薄く、しなやかでもちっとした食感。見た目はハードで食感はソフト。それを日本のハード系と考えます。粉の扱いなど、僕のパンのベースにはドンクがありますが、 配合や仕込が一般的な製法とかなり違うことは、ミディアミディで淺野さんや井出さんから影響を受けました。こんなやりかたがあるんだ、おもしろいなって」
さまざまな店で経験を積んだ櫻井さんは今、彼ならではのパンをつくり始めています。
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商品棚には小ぶりのパンが並ぶ |
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カカオテ(160円)はヴァローナ社のカカオを使用した、インパクトのある固形のクリーム入り。 |
櫻井さんのパンの一番の特徴は、その食感にあります。彼は日本のハード系というけれど、それはどちらかといえばソフト系。でも今までのソフト系とは違い、そのパンには長時間発酵のフランスパンや蒸し焼きされたズシリと重いドイツパンのようにしっとりもっちりとした質感を湛えているのです。
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プチトマトとグラナパダーノ、コーンとエダム
クリームチーズ、グラナパダーノ、ブルーチーズ
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挽肉とヒヨコ豆のカレーを包むのはマンゴ入りカレー生地
グリーンオリーブ入り、水分量が多いモチモチの生地
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玄米粉とごま油使用。きび糖のほのかな甘味。
絹のような食感。バターは粉対比24%。
たとえば焼きコーンの甘味と香ばしさをバターの深いコクのある生地で 包み、さらにコーングリッツとエダムチーズで周りをくるんだ「アマレロ」や グリーンオリーブの「ベルデ」は水分量の多い生地と具材によって、「ケソ」は チーズの量が粉対比80%以上入っていることによって、モチモチの食感に。
食感のほかに、特別印象に残るのは 「カリル」の生地の唐辛子の辛みとマンゴーの甘味のアクセント、その中に入っているナッツのように固茹でしたヒヨコ豆の食感、「ミルヒ」や「カカオテ」の固形のクリーム……。小さいけれど、舌の記憶に残るパンです。
個人的には、「トマテ」(低温で焼いたジューシーさを残したプチトマトの甘味と酸味がグラナパダーノ入りの生地に包まれた逸品)、ベルデ(グリーンオリーブのパン)がとても気にいりました。これはどちらもワインに合います。ちなみに、ここではもちろん、ワインも愉しめます。
ムーを使った朝食のトーストセット(450円)は8時からの人気メニュー。サラダと飲みものがついています。こんなお店から始まる一日も素敵ですね。
次のページではバリスタの仕事やパンとコーヒーのマリアージュについてご紹介します。