パン/パン屋さん取材レポート(西日本)

フール・ドゥ・アッシュ(大阪・本町)(3ページ目)

幼少時の記憶や、修業時代の経験、お客さんから感受するイメージからパンが生まれる。それは日々更新され、訪れる人を喜ばせる。アーティスティックなパン職人、フール・ドゥ・アッシュの天野さんを取材しました。

清水 美穂子

執筆者:清水 美穂子

パンガイド

フランスのベーシックなパン

先に書いたマンゴーフロマージュのように、毎年配合や製法を変え、年号を記したパンもある中で、フール・ドゥ・アッシュのオープン当初からずっと変わらないパンもあります。それは、クロワッサン、バゲット、パン・ド・セーグルなど、フランスのベーシックなパンたち。

「プレーンなパンも一生懸命焼いていますよ」と笑う天野さん。魅力的なバラエティブレッドの数々は、基本的なパンを焼けなかったら存在しえないでしょう。日々更新される贅沢な素材使いのパンはフール・ドゥ・アッシュの特長のひとつですが、こうしたパン職人らしいベーシックなパンにもファンが多いのです。

フランスのメゾンカイザーでの修業時代、菓子職人出身の天野さんにはとても大変な時期だったそうですが、カイザーさんはいつもウィンクして励ましてくれたのだそう。フランスパンの基礎は、カイザーさんにあります。

低温長時間発酵のバタール(380円)
ラ トゥルトゥ ドゥ ミワ (1/4カット350円)「ねっちり重め」と書かれた通好みのライ麦パン。どっしりとして酸味がある。

長時間発酵のパンや、どっしりとしたカンパーニュは劣化が遅く、味も食感も香りも、東京への長旅に耐えて保たれていました。足繁く通えない人にもおすすめの、頼もしいパンです。

時間があれば、こういう食事系のベーシックなパンをつかったお惣菜パンをイートインでいただくのがおすすめです。 お昼時になると次々にできあがってくるのが、ベースにシンプルな生地を使い、具材を贅沢に使用したタルティーヌやタルトフランベ(ピザ)。できたてのところをいただきたいパンです。

隣のカフェ「マルシェ」(別経営)では土曜を除くランチタイム後の13時から、フール・ドゥ・アッシュで買ったパンのイートインが可能となります。温めたほうがおいしいパンは温めて、席まで持ってきてくれます。

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