マノアール・ダスティン（銀座）(2ページ目)

りんごのピュレとの相性に驚く

軸のぶれない料理の数々

ブーダンノワールはアミューズとしてはもったいないくらいの料理であると同時に、この小さなスプーンだけの料理がこのレストランの奥行きの深さを物語る。

一見なんてことないサーモンのマリネはハーブとオリーブオイル、そしてマスタードのソースと共に上品な味わいを創出する。一面に引きつめられているサーモンのボリュームはたっぷりで、やもすると飽きてしまいがちになるものだが、そうならないところにソースの魅力がある。

ボリューの割にはあっさりとしたシンプルな味わい

トリップやジャガイモをソテーしたシンプルな内臓料理は五十嵐シェフの得意とするところか。一緒に盛られた何気ない椎茸の香りと味わいが印象的だ。しっかりとした味わいの白ワインソースに浸された鱈のポワレは、共に盛られたイカの食感とチーズとのコントラストが楽しい。

フォアグラを忍ばせた子羊のパイ包みといった伝統的なクラシックフレンチメニューも健在だ。そっとパイ生地にナイフを入れた時にその香りを逃してはいけない。すーっと湧き上がる子羊の香りが食欲をさらに高めてくれるだろう。

濃厚な赤ワインソースが長い余韻を生み出す

磨り減った木の床がこのレストランの年輪なのか。いつ訪れても安心して楽しめる料理は大変魅力的だが、楽しい時間を過ごせるかどうかということについては個人差があるかも知れない。着かず離れずのサービスと、水が欲しいな、と思ったときに注がれるタイミングの良さ。正確な料理の説明と滞りない上げ下げのタイミング。でも何か物足りなさを感じてしまうのは何故だろう。ホテルっぽいあっさりとしたサービスと言えばそうかも知れない。あ、何かサービスに落ち度があるかというと決してないが、私は個人的にベタなサービスが好きなのだけなのだ。

同じビルの地下にはアドリブという姉妹店がある。ここではカウンターで、マノアール・ダスティンと同じブーダンノワール、そして気軽に内臓料理などを楽しむことができるビストロだ。

■マノアール・ダスティン
東京都中央区銀座8-12-15
地図
03-3248-6776
ランチ　11:30～14:00(L.O.14:00)　2,940円～
ディナー18:00～21:30(L.O.21:30)　7,875円～
別途サービス料10％
無休