『パックマンvs.』ができるまで |
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宮本茂氏 (以下、宮本) 任天堂はこれまでさまざまなゲーム機を生み出してきましたけれど、「ハードが変わることでゲームは変わるのかな?」ということをずっと課題にしていました。最初の頃のテレビゲームは、昔からあった遊びをどんどんゲーム化してリメイクしていくという流れもあったんですけど、最近のゲームは先端の技術を取り入れることでしか進化していない傾向がありますよね。そこで、かつてテレビゲームによって昔からの遊びが甦ったように、ゲームキューブとゲームボーイアドバンスの“コネクティビティ”によって昔のゲームが今のプレイヤーの手元に甦らないかな、と考えてまして。それで、岩谷さんと相談させていただいたんですよね。
岩谷徹氏 (以下、岩谷) そうですね。初めてお会いした時に、宮本さんから「実は今、『パックマン』を題材にしてゲームを作ってます」と言われまして、そのときは私は「ええっ? 何で今さらそんなことをするんだろう」と思ってしまいました(笑)。
宮本 しかも任天堂の人間がどうして、と(笑)。
岩谷 詳しくお話を聞きましたら、ゲームキューブとゲームボーイアドバンスが合体した非常に素晴らしいゲームだという事が分かりまして。その後もお話を重ねながら開発が進められていった、というわけですね。
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(C)1980 2003 NAMCO LTD. (C)2003 Nintendo |
『パックマン』の本質とは |
岩谷 宮本さんには『パックマン』の本質をちゃんと見抜いていただいたので、そのシンプルさを損なうことなく『パックマンvs.』をパーティゲームとして楽しめる作品に仕上げていただけて、感謝しています。
宮本 最近はゲーム機のコントローラも複雑になっているんですが、そのために「ゲームは難しくて遊べない」という人も出てきています。ゲームは3Dに進化して面白くなったけれど、その反面難しくなってしまっていて……。『パックマン』というゲームは、十字ボタンしか使わないので誰にでもカンタンに遊べるんですよね。10分も遊んでいれば皆同じレベルに上達するんです(笑)。
任天堂とナムコの「コラボレーション」 |
宮本 そうですね。僕と岩谷さんが今、こうして2人で並んでますよね。ファミコン以前のゲームセンターで事業を始めて以来、ナムコさんは任天堂のライバルだったんですよ。長い間ナムコさんと競争してきましたが、かつて現場で働いていた人たちがこうして今は管理する立場になって、最近ではかなりオープンな雰囲気で仕事ができるようになって、これからは業界全体を盛り上げていきましょう!みたいなムードは強くなってきましたね。ここ3~4年は(会社同士のコラボレーションが)とくにスゴいですね。ナムコさんといい、セガさんといい……。
岩谷 昔は「任天堂さん」なんて呼んでませんでしたからね。「任天堂くそー!」みたいな(笑)。
宮本 いやいや、僕らは「ナムコさん」って呼んでましたよ(笑)。
岩谷 あ、そうなんですか。言って損したなぁ(笑)。
>> Page.2/宮本茂氏&岩谷徹氏に一問一答!
<目次> |
◆「レベルX」トークライブ ~なぜ今、『パックマン』なのか~ 宮本茂氏×岩谷徹氏のスペシャル対談を徹底掲載!! |
◆宮本茂氏&岩谷徹氏に一問一答! 「ゲーム作りで一番大事なことは?」「ゲーム機の今後は?」etc |
◆写真で綴る「レベルX」~完全保存版! 「レベルX」完全保存版フォトアルバム! ファミコンよ、永遠に…… |