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なぜ今、『パックマン』なのか!(3ページ目)

任天堂・宮本茂氏とナムコ・岩谷徹氏による「レベルX」トークライブの模様や、記者との質疑応答で垣間見えた両氏それぞれのゲーム作りへの考え方を、当記事で詳しくお伝えいたします!

執筆者:川島 圭太


宮本茂氏&岩谷徹氏に一問一答!

───「レベルX」の展示でとくに印象深かったソフトを1本挙げるとすれば?

岩谷 作品それぞれに個性がありますので、ベスト1というのは選びにくいですね。ただひとつ言えることは、作り手が頑張った作品はやはり輝いていますね。

宮本 僕は、『ファミリーコンピュータ ロボット』が展示されていたのが印象深かったです……自社製品で申し訳ないですが(笑)。僕は『ロボット』以前にも光線銃などを作っていたんですが、最近はそういうものから遠ざかってしまっているので、工業大学出身のデザイナーとしてはもっと幅広いものを作りたいなぁと、懐かしく思いながら観ていました。

───お2人のお互いの作品をみて、その当時はどのように感じていましたか?

宮本 僕が『パックマン』を題材にしてゲームを作ってみたいと思ったのは、やはりパックマンやナムコへの憧れみたいなものがありましたから、すごく敬意を払っていましたね。『パックマン』は非常にバランスよく出来ていて、その仕上げのセンスにも惚れ込んでいました。

岩谷 ありがとうございます(笑)。宮本さんの作るゲームは非常にユーザーフレンドリーなんですね。少~しだけ難しく設定して、それ以上は難しくしないというゲームバランスの素晴らしさに惚れて、いくつか参考にさせていただいたこともありました。

───ゲームを作るうえで、一番重視していることは?

宮本 僕は、“インラタクティブ(相互作用)”が全てだと思っています。歴史上テレビゲームというのは、ユーザーに刺激を与えることで進化してきましたけれど、新しい刺激を「与える」ことだけに走ってしまっていると思うんです。もちろん僕も、ゲームで新しい刺激を作っていくわけですけれど、なおかつプレイヤー自身が「自発的に感じる」ことが最高だと思っています。たとえば、『ゼルダの伝説』で主人公のリンクがレバーを「引っぱる」とき、豪華なデモムービーが流れて扉が開くというのは「与える側の刺激」ですよね。でも僕は、Aボタンを押したらレバーを「引っぱる」は絶対にしません。Aボタンを押すと、リンクはレバーを「持つ」んです。そしてプレイヤー自身がコントローラのスティックを手前に「引っぱる」ことで扉が開くんです。そういうインタラクティブな感覚を、僕は一番大事にしています。

岩谷 私は、ゲームというのは一つの“素材”だと思っています。今の若いユーザーさんは、ゲームや映画、テレビなどから情報をシャワーのように浴びているわけで、限られた情報の中からイメージするということに慣れていないと思うんです。なので、僕はむしろ単純な素材をユーザーさんに提供して、ユーザーさんの想像力をかきたてるようなゲーム作りを一番大事にしています。

───これからのゲームはどのようになるのでしょうか?

岩谷 私は、ハードウェアのスペックはこれ以上は要らないですね。白いキャンバスに色とりどりの絵を描くための道具はもう揃っていると思います。あとは、いかにユーザーさんにイメージを膨らませて遊んでもらうか、という方向に進んでいきたいと思います。

宮本 そうですね。ハードウェアが高性能であることに越したことはないんですが、ゲームを作る側が気楽に作ることができるのであれば、今後は「高性能のスペックで売る」という方向を追い求めていく必要はあまりないと思います。プレイヤーとモニターの間にコンピュータがあるという構造はこれからもずっと無くならないでしょうし。だから、プログラマーにも「僕らの仕事は今後どうなるんでしょう?」とか聞かれますけど、僕は「プログラムが組めれば何とか仕事はあるよ」と答えて、ここ25年ほどは嘘つきにならずに済んでいるんですけれども(笑)。

───生誕20周年目に生産終了となった「ファミコン」に対する感慨のようなものは?

宮本 うーん、僕はあまり「○○周年」とかいうことに心が動いたりしないんですよね(笑)。この先まだまだゲームは変わっていくのかな、という思いはありますけれど。ファミコンの生産中止は、部品が調達できなくなってしまったので申し訳ない……ということだったのですが、何だか「ファミコン生誕20周年」ということで大ごとになってしまって(笑)。

岩谷 ファミコンには20年という長い歴史があるわけですけど、テレビゲームの歴史は1958年、今から45年前にアメリカから始まったんですよね。その流れを振り返ってみると、だいたい20年くらいの単位でテレビゲームの歴史が動いているのかな、という印象を受けます。今から20年後にはまた「○○20周年」というものが出てくると思いますが、テレビゲームの歴史の一つの区切りとして「ファミコン」があったんだなぁ、と感じています。

───お2人の今後の抱負をお聞かせください。

宮本 「ゲームはみんなのものだ」と言ってもらえるような、誰でも付き合えるゲームを作っていきたいです!

岩谷 私は、たとえば映画なら『七人の侍』や『ローマの休日』のように、何十年も経っても愛されているようなゲームを作っていけたらいいな、と思っています!

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>> 別記事/写真で綴る「レベルX」~完全保存版

<目次>
「レベルX」トークライブ ~なぜ今、『パックマン』なのか
宮本茂氏×岩谷徹氏のスペシャル対談を徹底掲載!!
宮本茂氏&岩谷徹氏に一問一答!
「ゲーム作りで一番大事なことは?」「ゲーム機の今後は?」etc
写真で綴る「レベルX」~完全保存版!
「レベルX」完全保存版フォトアルバム! ファミコンよ、永遠に……

 

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