メガネの3Dと裸眼の3D突然ですが、ガイドはメガネをかけております。専用のメガネが必要な場合、メガネを普段からかけている人は、メガネオンメガネになります。なんだか変な感じですね。任天堂は2010年6月15日からロサンゼルスで開催された世界最大のゲームショウ、エレクトロニック エンターテイメント エキスポ(以下E3)で3DSを発表した際、盛んに裸眼で使えることを強調しました。裸眼で見れるという点は、任天堂にとって非常に重要な差別化のポイントなのです。メガネをかけなければいけないということは、逆に言えばメガネをかけていない人にはぼやけた映像にしか見えないということですから、何となく居間のテレビがついているという状況ではなく、よし、3Dのゲームをやるぞと、そう思ってメガネをつけて遊ぶわけです。そして、一緒に映像を観たい人はみんなメガネをかけている必要があります。一方、3DSは基本が3D映像で、目が疲れたりなどの理由で2Dで遊びたいと思えば、手元のスイッチで簡単に2Dに切り替える、あるいは少しだけ3Dにするといった調整も可能な作りです。瞬間的には些細な差ですが、積み重なってくると、大きな違いがでてきます。毎日ゲームをするたび、常にメガネをかけるのかどうか、ということですね。特別な付加価値としての3D、標準としての3D3DSはきっと子供たちがこぞってプレゼントにせがむような商品に。一方3Dテレビは、徐々に価格帯を下げながら各家庭のテレビ買い替えタイミングを狙って普及させていくという流れでしょう。そういう風に考えていくと、3D対応のブラビアを買って、メガネをかけて、PS3で3Dゲームを遊んで貰うというのは、なかなか簡単なことではありません。そもそも、発売日と同時に数十万台という数をさばいて垂直立ち上げを狙うゲームハードとは違って、3D対応テレビが、しかもPS3に接続されているという状況で普及するのはずっと緩やかでしょう。となると、PS3にとっての3Dは、しばらくの間3D対応テレビを買って貰う理由になる、特別な付加価値として存在するような位置づけになると考えられます。必ずしも全てのゲームが3D化する必要もなく、何か目玉になるゲームがあって、それを売りに量販店などで体験会を行って3Dテレビの普及を促しながらコンテンツを充実させていく、というシナリオが現実的かもしれません。3DSは逆です。E3ではそれを象徴するかのようにありとあらゆるタイトルが、マリオも、ゼルダも、どうぶつの森も、メタルギアソリッドも、バイオハザードも、みんな3Dになっていました。これからは3Dで当たり前、3Dが標準だと言わんばかりです。一気に普及を進めて、周りがみんな3Dなのに自分だけ持っていないのは嫌だと、そんな状況を作ってしまえば、任天堂としてはしめたものです。同じ3Dゲーム体験でも、ターゲット、遊ばれる場面、買ってもらうまでのプロセスが大きく違います。そしてそれは、ソニーと任天堂のメーカとしての立ち位置の違いを明確に表しています。前のページへ123次のページへ