ポケットの中ではなく、家の中を狙う携帯ハード

ポケット争奪戦の図
携帯デバイスにとって、ポケットの中は特等席に違いありませんが、みんなが狙っている逆をいくのも、また戦略かもしれません。
DSiLLは何故大型化したのか。そのご説明をするには、そもそも携帯ハードが小型化する理由を考える必要があります。それは、ある場所を取り合っているからです。

人が移動時に物をしまっておく場所の特等席、そうポケットの中です。2009年11月1日に発売されたばかりのPSP goは、DSiLLとは逆に、大変な小型化を実現しました。おそらく、ポケットの中に納まるサイズというのは意識しているでしょう。一方、DSiLLは全くポケットなんて狙っていません。入りませんから。

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じゃあ、どこを狙っているのか。それは、家の中でしょう。そもそも、みんなでポケットの中を狙っているからといって、携帯ハードが必ず持ち運ばれて遊ばれているかというと、実はそうでもありません。携帯ハードは外でも遊べますが、家の中でも遊べるんですから。据え置きハードより気軽に遊べるから、自分の部屋で遊べるから、ベッドの上でねっころがって遊びたい、そういった理由で、外に持ち出しはしないけど携帯ハードがいい、という人はそれなりにいるんじゃないかと思います。

そこで、DSのバリエーションとして、家の中で携帯ゲームハードを遊ぶ人に焦点を合わせた商品展開を考えるとどうなるか。外に持ち運ばないノートパソコンのようなものを想像すれば分かりやすいかもしれません。家の中では持ち運びができて、自由な場所で使えるけど、外に持ち出さないので多少大きくても、重くてもかまわない、その分大きな画面で遊べるようにしよう。はい、まさしくDSiLLのような商品が誕生します。家の中で遊んでもらうことを狙った携帯ゲームハードです。

電車の中でやるんだったら視野角なんて狭い方がいい

電車の図
外に持ち出してゲームをするのが前提なら、視野角を広くしたといってもあまり売りにはならないかもしれません。
家の中で遊ぶ携帯ハードという方向性を決定付けるもう1つの理由があります。それは、視野角です。視野角というのは、広ければ広いほどいいというものではありません。用途によって変わるべきものです。そこに、DSiLLというハードが選択した方向性が垣間見えます。

先ほど、DSiLLをノートパソコンに喩えましたが、ビジネス用のノートパソコンというのは、わざと視野角を狭くしているものがあります。なんの為でしょう? 外に持ち出して使うためですね。外出先でメールなどを打つ場合に、周りから画面が見えない方が望ましいからです。

携帯ゲームハードでも、外で遊ぶ場合を想定するなら、視野角が広い方がいいとは限りません。電車の中でやっていたとして、周りに何のゲームか見えて欲しい、という状況はあまりないでしょう。むしろ、横に座ってる人には画面なんて見て欲しくないと思うことの方が多いのではないでしょうか。

しかし、DSiLLは視野角を広くしました。そしてそのことを公式サイトなどで大きく謳っています。友達や家族が集まった時、みんなで画面を見れるように広くした、と。

ノートパソコンと同じで、外で使うものなら視野角は狭いほうがいいんですが、プライベートな空間に置いておくなら、視野角を広くしておくことで、画面をみんなで見ることが可能になります。内蔵のカメラで撮った写真をみたり、ゲームをしているところを横から覗いたり。広い視野角の選択は、DSiLLが使われる場面、空間、そういったものの方向性を打ち出しているんです。

本体の大きさと重さから携帯性は犠牲にして、その代わり家で遊ぶのに適したスタイルを提供するDSiLL。それは、もしかしたら新しいゲームハードの位置づけを模索するものになるかもしれません。