ゲーム購入体験の違い

マリオカートWiiの図
ダウンロード販売なら家にいながらにして即座にコンテンツを手に出来ますが、物を買うワクワク感というものもあります。
アップルはイベントで、ゲームの買い方もオンラインダウンロード販売のみのiPod touchは優れていて、DSやPSPにおいて主流である、ユーザーがお店に足を運ぶ購入体験を否定的に話しました。

確かにApp Storeでの購入体験には素晴らしい魅力があります。オンライン上のお店に、日々新しいゲームが並び、それらを低価格で、あるいは無料ですぐに遊ぶことができます。便利であることはもちろんのこと、暇な時に何か面白いものはないかとリストを探すのは、Webで毎日面白い話題や動画を探すのにも似た楽しみがあります。お店でゲームを買うのとは別物の体験です。

では、お店まで出向いてゲームを買いに行くのは面倒なだけでしょうか? そんなことはないですね。やっぱりお店に行って新しいゲームの発売が近くなるとポスターが貼られたりしてワクワクしますし、待ちに待ったゲームを朝から並んで買うのだって楽しいです。ゲームが好きな人にとって、学校や仕事の帰り道にゲームのお店に寄って、パッケージを眺めたり、POPを読んだり、プロモーションビデオをみたりしながら、たくさんのゲームに囲まれた空間にいるというのは、大変心地よい息抜きです。

App Storeの購入体験は、やはり気軽に買える小規模なゲームが大量にリリースされるiPod touchの市場に適していますし、お店でのゲームソフト購入体験は、大々的な宣伝で注目を集め集客するキラータイトルがお祭りを演出しています。それぞれがそれぞれのコンテンツに上手くマッチした購入形態になっているので、オンラインダウンロード販売が便利で楽しいものであることを言うために、お店での購入体験を否定するというのはピンときません。

ゲームコンテンツの違い

アサシンクリードの図
iPod touch版のアサシンクリードは、奥行きのある横スクロール画面を進むアクションゲームで、タッチパネルを方向キーやボタンの代わりにして操作します。
ゲームコンテンツの紹介の仕方にも違和感があります。というのは、冒頭に申し上げたようなUbiやEAのような大手ゲームメーカーが登場し、これから発売の新作ゲームを紹介するというのは、DSやPSPなど既存のゲーム業界のあり方です。キラーコンテンツが市場を牽引し、お店を盛り上げ、高いゲームを買ってもらう形です。

イベントでは、UbiのアサシンクリードシリーズがiPod touchで横スクロールゲームになって登場すると発表されましたが、果たしてゲームユーザーはどれほど大きな反応を示すでしょうか? 日本に馴染みのある別の例で言えば、メタルギアソリッドシリーズのiPodバージョン、メタルギア ソリッド タッチにどれ程インパクトがあったでしょうか?

どうしても、メタルギアソリッドシリーズのブランドを使った亜流の小型タイトルに感じられてしまいます。これが、メタルギアソリッドシリーズ本編がiPod touchで独占発売されるというのであれば、業界中に、そしてユーザーにも激震が走るでしょう。しかし、申し上げた通り、iPod touchの市場は大手メーカーが莫大な開発費をかけてゲームをリリースするのには、あまりむいていません。

アップルがiPod touchで起こしたイノベーションは、大手ゲームメーカーを誘致することではありません。参入障壁を徹底的に低くすることで世界中のゲームクリエイターにゲームを提供してもらい、それをユーザーが自由自在に選んで遊べる仕組みです。ですから、やっぱりゲーム業界がやるような大手メーカーの大作タイトル先導型のコンテンツ紹介は、どこかピンときません。

どうしてiPod touchにピンとこないゲーマーがいるのか、色々とお話してきました。これはつまり、iPod touchは、DSやPSPと同じようにゲームコンテンツを遊べるハードではあるんですが、それらとは全く別の価値を提供しているということなんです。