大切にしていた何かが壊れる音
器用貧乏だったサマルトリア王子に念願の必殺技が! 端からモンスターが消えていく様がとてもかっこよく思えました |
この何かをご説明するべく、極めて具体的な例で言い換えてみるなら、大切な何かとはこういうものです。小学生の頃プレイしていたドラゴンクエスト2で、ロンダルキアへの洞窟があまりに難しく、一生懸命レベル上げして初めてザラキを覚え、その強力な魔法に感動したあまり、絶対に間違いのないように復活の呪文を3パターン書いた思い出。個人的な思い出話で大変恐縮ですが、レベルはお金で買えますよ、と言われた時、このようなものに、ピキッとヒビが入る音が聞こえた気がするのです。
テイルズオブシリーズに限らず、多くのRPGは、戦闘をして、経験値をため、レベルアップすることで困難を打破する構造をとっています。そしてその行為そのものをゲーム体験としてユーザーは楽しみます。しかしその楽しみを、お金を払ってパスすることができますよと、作り手側に提案された時、凄く複雑な気分になってしまうわけです。自分達が楽しいと思って遊んでいた部分は、お金を払って飛ばしてしまうようなものなのか? と。
売れるものは何でも売る? ユーザーが抱える不安
アイドルマスターは、ダウンロードした衣装で行ったステージを動画投稿サイトなどにUPして楽しむユーザーも多くいます |
ゲームハードの高性能化にともなう開発費高騰は切実で、DLC販売のビジネスモデル模索に力をいれることは、企業として当然のことです。新たな収入源を確保しつつ、RPGのような時間がかかるゲームをなかなかできない人たちへの拡大策を打つという、一石二鳥手立てであるという、言い方もできます。
ただし、一部ユーザーの大きな反発があったことも事実です。そこには、今は良くても、そのうちDLCでレベルを買わなければとてもクリアできないようなゲームが登場するのではないか、というような、企業の姿勢に対する不安もあるように思います。
このような不満の根本を考えるには、ゲームという商品を通して提供される価値とは何だったのかということに立ち戻る必要があります。