ゲーム開発を管理するのにはぴったりの制度
椅子のベッドで仮眠は基本ですね。なかなか家に帰れない人もいれば、仕事が終わって早めに帰る人も。 |
じゃあ、グラフィックを作りこむ間は遅くまで残業して、終盤にかかったらあまり会社に来なくていいですよ、という風にする場合に、裁量労働制なら細かく残業状況をチェックしたり、振り替えの計算をしたりしなくてすむわけです。管理をするというのは即ちコストそのものですから、これがなくなるのは単純に会社全体にとっていいことですね。
ただでさえ忙しいなか、毎日の労働時間の申請を細かくしなくて良いのは、働く側にとっても無駄が無くて合理的です。めまぐるしい作業の中、いつどれだけ残業したかなんて覚えてないよ! なんてことはゲームに限らず忙しい現場ではよくあることですよね。さらには、経営という視点で見ても、人件費のコントロールがしやすいという大きな利点があります。
何かいいことずくめのような気もする裁量労働制、そこに問題は無いのでしょうか?
裁量労働制は高騰する開発費を誤魔化し得る
特にPS3やXbox360のように、HDに対応しているゲームの開発費高騰が顕著であると言われています。 |
そういった背景の中、残業をしても人件費に反映されない制度があれば、当然コスト削減になりますよね? 管理費と人件費が一気に削減されるわけですから、一石二鳥とはこのことです。しかし、これでは働く方はたまったものではありません。カットされたコスト、とくに人件費の方は残業代そのものなのですから。
本来、労働時間の変動が激しくて管理が困難な場合に使い、忙しい時間と会社にいなくても良い時間の帳尻が大体あっていれば、至極合理的な仕組みです。しかし、作業が膨大化し続けている現状のゲーム業界の中で採用すれば、場合によっては残業代カットの口実にしかならない場合もあります。そして実際に、実情とあまりに違い過ぎるということで訴訟が起きたのがテクモの例だというわけです。
裁量労働制はとても便利な仕組みではありますが、1歩間違えば大きな爆弾を抱えることにもなります。