デコレートばかりでデザインじゃない

最近のゲームの図
映像はすごく豪華にはなったけど、デザインとしての役割を果たすのはその分難しくなってもいて、結果としてゲームそのものが分かりにくくなることもしばしばあります
スーパーマリオブラザーズを例にゲームのデザインについてお話をしてきたわけですが、今度はこのような観点で現在のゲームについて考えてみます。ドットの時代と違って色々できるんだから、デザインしやすくなったかというと、そうでもないんです。

ビカビカと光るハテナブロックが、すごく目立って、仕掛けがありそうなデザインであるということは、ハテナブロックのデザインだけに依存するわけではありません。ハテナブロックというのは、スーパーマリオブラザーズの背景の中にあって、あの色やハテナのマークがとても目立つデザインになっています。従って、ハテナブロックのデザインが持つゲーム全体に対する役割も、あのシンプルな全体のデザインの中にあってはじめて発揮されます。画面のあちこちがビカビカとしていたら、当然ハテナブロックも目立たないということです。

スーパーマリオブラザーズから20年以上たった現代では、ゲームのグラフィックは果てしなく緻密に、複雑になってきました。そして、CMやゲーム雑誌で紹介された時に見栄えがするように豪華な映像になっていきました。しかしこれは、デザインというよりはデコレート、つまり装飾なんですね。装飾すればするほど、デザインの意味がその中に埋没していきやすくなります。

リアルな背景の中で、これはアイテムなのか、背景なのか、そんなことすら分からなくなるようなゲームも珍しくなかったりします。いくらすさまじい描き込みがされていたとしても、これではデザインされているとは言えません。そしてこのデザインの問題は、ゲームそのものが分かりにくくなっているという問題と大きく関係します。

棒という形の凄さ

コントローラーの図
他のコントローラーは、両手で握りやすいように、ボタンを押しやすいように、スティックを倒しやすいようにできています。Wiiのリモコンだけがはっきりと別の動作を目的としてデザインされていますね
ちょっとゲームグラフィックのデザインの話から、ゲームコントローラーの話に脱線しますが、Wiiのコントローラーというのは非常に素晴らしいデザインをしています。というのもあの棒のような形。子供の頃、ほうきとか、木の枝とか、棒状のものを持つと振り回したりしませんでしたか? 棒という形は、振るとか、指し示すとか、そういう動作と強く結びつけられている形です。棒を握ると思わず振ってしまう、という意味で動作を内包した形といってもいいと思います。

Wiiでもっとも売れているタイトルであるWiiスポーツでは、テニスのゲームでWiiリモコンを振ってボールを打ち返しますが、あれは実はPLAYSTATION3(以下PS3)のコントローラーでも機能的には同じことができます。しかし、同じことをしても同じように分かりやすいゲームはできないでしょう。何故ならPS3のコントローラーは両手で握って、ボタンを押させる形をしているからです。PS3のコントローラーを握ったなら、どのボタンを押したらいいのかを考えるのが普通の感覚です。

その意味で、実にWiiリモコンとテニスという組み合わせは理にかなっています。自分のところにボールがきた、手には棒をもっているからそれを振って打ち返した、これを分かりやすいゲームであると多くの人が思ったわけです。今までのコントローラーの形を捨て、Wiiというハードに絶対必要な形にデザインしてきたことは本当に見事です。

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最後は、このWiiのリモコンのようなデザインの考え方が、これからは重要になってくるというお話です。