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オンラインはゲームビジネスを変えるか(3ページ目)

全ての次世代機に標準でオンライン接続機能が搭載され、PlaystationHomeなど新しいサービスも続々登場しています。試行錯誤を繰り返す家庭用ゲーム機のオンラインを利用したビジネスを考察します。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

PS3 PlaystationHomeで猛追するか

オンライン上に素敵なリビングの図
オンライン上に自分だけの素敵なお部屋が作れる、というようなビジュアライズされた部分がWiiやXbox360と大きく違う所ですね
2007年3月7日、サンフランシスコで開催されているゲーム関係者による世界
的会議Game Developers ConferenceでPS3の新オンラインサービス、PlaystationHomeが発表されました。ニンテンドーDSで展開していたWiFiコネクションに据え置きならではのサービスも加わえていくWii、初代Xboxから長い時間をかけて成熟したサービスを創りあげたXbox360に比べると、PS3はゲームの追加要素のダウンロードや、ユーザー同士のチャット機能など、基本的なサービスや機能はあるもののそれら全体をまとめあげる包括的なサービスに欠けていた感がありました。そこで今回、PS3を使ってオンライン上に仮想空間を作り、ユーザーコミュニティを実現させるというプランを立ち上げたわけです。

まずPlaystationHomeついて簡単に説明しましょう。ユーザーは無料でダウンロードできるソフトを使って、オンライン上の仮想空間にアクセスします。仮想空間ではユーザー同士が会話をしたり、あるいは仮想空間に用意されてるビリヤードやボウリングなどのアミューズメント施設で一緒に遊ぶことができます。それぞれのユーザーは自分のプライベートスペースを持つことができ、そこに家具を設置したり、他のユーザーを呼んで一緒に動画などを楽しむこともできるとか。

2007年秋からβテストが開始されるHomeですが、サービスやビジネスモデルなどについて詳細はまだ分かっていません。ですが、例えば仮想空間の中で広告をだしたりというようなことが視野に入っているようです。その他にもゲームを買うことができたり、あるいは動画や音楽などの販売なども考えられるでしょう。WiiやXbox360と違い、PS3の高いハード性能をいかしてグラフィカルな形でコミュニティを創造し、そこにどんなサービスとビジネスが生まれていくのか、これからが注目といったところですね。

セカンドライフにみる新しいオンラインビジネスモデル

最後に、アメリカで人気のPCオンラインゲーム、セカンドライフというソフトをご紹介したいと思います。このゲームソフト、仮想空間で生活することができるある意味PlaystationHomeのようなゲームですが、ビジネスモデルとなると考え方が全く違います。

セカンドライフはそのゲームのなかでユーザーが作り出せるコンテンツは全てユーザーに知的財産権があると認めています。ゲームの中での個人、あるいは企業等のビジネス活動一切を認め、ゲーム内の通貨はメーカーが現実のお金に換金しています。ゲームに参加するのにお金はかかりません、またメーカーがゲーム内で広告やコンテンツ販売等のビジネス活動をすることもありません。

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では、どうやってお金を儲けているのでしょう。これがちょっと面白いんです、土地を売ってるんですね。もちろんゲーム内の土地です。ゲームに参加するのにお金はかかりませんし、ゲーム内で何かモノを作って売ったりすれば逆にお金が入ってくる、あるいは広告を展開することもできる。そうやってゲームの中でユーザーや企業が入ってきて遊んだり、経済活動したりできる仕組みを作り、権利をどんどん解放することで人を集めていきます。そうやって集まった人達が個人で所有できる土地をゲーム内に欲した時、初めてメーカーに土地代を払うというわけです。

まずコミュニケーションツールを無料で提供し、そこに起こる利益をみんなでシェアすることで人を呼び、人が集まることで自律的にコンテンツが生まれていくという仕組みは、ITの分野でよく言われるWeb2.0型の仕組みをゲームに取り入れた例であると言えるでしょう。その意味でセカンドライフが成功していくかどうかというのは、ゲームにおけるオンラインビジネスの可能性に対する試金石となるような気がします。

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ようやくインフラや性能の面で充実したオンラインサービスを提供する環境が整ってきた家庭用ゲーム機ですが、ビジネスモデルについてはまだまだ手探り状態というところでしょう。セカンドライフのような方向性も含めて、これからどんどん新しい試みがされることを期待したいですね。
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