Cellは他のCPUとどう違うの?

妖精さん達の図
管理職の妖精さんはOSなども動かせます。専門職の妖精さん達は非常にシンプルで性能をあげつつもコストだけでなく消費電力や発熱を抑える構造になっています。
性能が高いのはもちろんなのですが、Cellは今までのCPUとは根本的な構造が違います。このお話は普通にしてしまうと、専門用語がたくさん出てくる難しい話になってしまうので、ちょっと別のものに例えてみたいと思います。

CPUの中に、妖精さんがいると思ってください。この妖精さんはお金を払って雇ってきてCPUの中でお仕事をしています。この妖精さんが優秀であればあるほどCPUは複雑な命令を素早く処理してくだせます。ですからいかに優秀な妖精さんを雇うかが、性能の高いCPUを作る鍵でした。

ですが、最近では、優秀な妖精さんを雇うには非常にお金がかかって困っています。今までより少し仕事ができる妖精さんでも、すごくたくさんのお金がかかってしまうのです。この時、優秀な妖精さんを1人雇うのではなく、たくさんの妖精さんを雇った方がいいのではないかと考えた人がいました。

この方法を使うと、妖精さん達の仕事はすごくはかどりましたが、まだ問題はありました。たくさん妖精さんを雇うとやはりお金がかかりすぎてしまうのです。そこで今度は妖精さんのお仕事を管理職と専門職に分けることを考えました、それがCellの構造なんです。PS3に搭載されているCellには管理職として汎用的なお仕事をこなせる妖精さんが1人、そしてさらに専門に特化して効率を追及した妖精さんがなんと8人も雇われています。これによって、1人1人の妖精さんたちを雇うお金を抑えながら、とても仕事ができるチームを作ったのがCellというCPUなんです。

ちなみに、妖精さん達の本当の名前をCPUコアと言います。CPUの中で核となる中心的な計算をする回路のことです。そしてCPUコアを複数搭載する仕組みをマルチコア、さらに管理職と専門職の妖精さんといった風に、種類の違うCPUのコアを搭載することをヘテロジニアスマルチコアと呼びます。ヘテロジニアスというのは、異種、あるいは異質のという意味です。異質のCPUコアを複数組み合わせているということですね。そして、CellはこのヘテロジニアスマルチコアのCPUというわけです。

さてここまで聞くと、全てを解決した夢のCPUに思えますが、やはり問題はあります。今までと違い、管理職の他に8人もの妖精さんがいるとそれをまとめるのが大変なんです。全員が上手く動くようなお仕事であれば、すごい力を発揮するのですが、それが難しい。つまり、Cellはその能力を最大限に生かせるようなプログラムを作るのが、現時点では非常に難しいと言われています。ここの所がPS3が初期になかなかその性能を生かしたソフトが揃わないだろうと言われる理由のひとつであり、同時に後半に魅力的なソフトが出てきて販売数を伸ばすのではないかと予想されるところでもあります。

さて、この高性能なCPUであるCellはPS3の為だけに開発されたのでしょうか? いいえ、違います。最後にソニーの壮大な計画についてお話したいと思います。