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ハードウェア代理戦争は何故起きる?(3ページ目)

ゲームハードの売り上げ競争は、意外なところにも波及している? ネットで散見される”ハードウェア代理戦争”を分析します。

山道 健介

執筆者:山道 健介

プレイステーションガイド

久多良木ビジョンと平井ビジョンの乖離

プレイステーション生みの親である久多良木元社長と、平井現社長のビジョンには大きな乖離があると言える。「PS3はゲーム機ではない」「PS3は高級レストラン」などの突き抜けた久多良木ビジョンと、「PS3はゲーム機」「ノンゲームを大切にする」などのより現実的な平井ビジョンにより戦略にブレが生じたことで、ユーザーの混乱を招いたのは間違いない。
PS2から後方互換を約束してきたプレイステーションが、PS3の40GBモデルからPS2の互換を廃したことも戦略のブレを感じさせる。

従来の輝かしい実績と立上げ失敗の乖離

言うまでもなくPS2までのソニー・コンピュータエンタテインメントのハードは、他社の追随を許さないレベルで王者として君臨していた。
PS3の立上げは供給不足から急速に失速し、PS2の後継ハードとは思えないほどの苦戦を強いられている。このギャップからか、ユーザーだけではなくサードパーティーの動きもブレていると言えそうだ。

国内ビジネスと国外ビジネスの乖離

いち早く発売されたXbox360に対応するため、海外のパブリッシャーはHD対応のゲーム製作で飛躍的に技術力をつけた。
旧世代機や携帯ゲーム機に注力していた国内パブリッシャーは技術力の上で一歩出遅れる形となったのである。現状で海外市場を意識するパブリッシャーは Xbox360とPS3に対応する必要があり、プラットフォームとして開発が容易なXbox360に流れるという現状もある。
そのため国内でのビジネスがお座なりになるというケースもあり、Wiiや携帯ゲーム機の活況とは裏腹に、国産HDゲームはなかなか盛り上がらない。

理想のスペックと実際のスペックの乖離

Xbox360より後発であることもあり、次世代機随一の性能をうたって発売されたPS3。
だが、発売当初には既にXbox360が使いこなされている中、PS3での開発は難しいと言われ続け、発売されるマルチプラットフォーム作品はPS3の方が見劣りするということが多かった。
現在ではPS3もかなり使いこなされており、当初のような差はほとんど見られなくなってきている。だが、ハードウェアとしての優位性がBru- rayDiscの容量の大きさくらいしかなくなっていることから、「性能が高いから価格も高い」という図式は成立しなくなってきている。

このことの失望感も、ユーザー離れを引き起こした一因ではないだろうか。
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