ゲーム機「Wii」と「PS3」の勝敗
「PS3は逆転できない」…。このタイトルに違和感を感じる読者も多いかも知れない。なんとなく雰囲気で「まったくだ」と感じる読者もいるだろう。そもそも何の勝ち負けなのか、一般的にPS3はどう受け止められているのか、ゲーム業界では何が起こっているのか。そんな話をしてみたいと思う。まずはご一読いただきたい。
WiiがPS3対して販売台数で圧倒的な差を見せている状況が続く中、単純に販売台数を見た場合「Wiiの圧勝、PS3の歴史的敗北」と言うことができるだろう。もちろん新型PS3の登場によって販売台数は伸びるだろうし、Wiiの普及が進み販売が頭打ちになってきている事を考えれば状況は変わってくることも十分予想できる。
しかし、ゲーム機は登場直後がもっとも大事な局面であり、その局面で十分な台数を販売できなかったPS3の旗色は悪い。
なぜ、発売直後が大事なのか?
2006年、去年の今頃は「次世代ゲーム機戦争勃発!」などと言って盛り上がったものだが、PS3の「全部入りハード」としての存在価値を疑問視する声は多かった。価格的に言っても高価なのは目に見えていたし、何せWiiのインパクトも凄かった。ここまでの不振は想像していなかったにせよ、このままのアーキテクチャで本当に普及するのか、という疑問は多くの人が抱いていただろう。
いざ発売日を迎えてみれば大盛況…とはいってもすぐに品不足に陥り、その後はご存知のとおり。量産体制が整っても販売は伸びず、逆に在庫は増える一方だった。
品不足は機会損失を招くのは確かだが、うまく消費者の飢餓感を煽ることが出来れば逆にブームを生み出すこともある。今回、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEI)は、後者の可能性に賭けていたのではないかと筆者は思っている。
当然、ゲーム業界は「普及しているハードにサードパーティーが集中する」傾向がある。PS3がスタートダッシュに失敗した時点でサードパーティーの注目はWiiに移り、すでに北米である程度普及しているXbox360にも興味が出ていたことだろう。
PS3は、次世代ゲーム機戦争でも圧倒的トップシェアを確保することが半ば宿命付けられているハードである。ということを考えると、現状では大敗北、サードパーティー離れも進み今後はゲーム機としての生命すら危うい…。そんなところが、まぁ、今ゲーム業界で蔓延している空気であると思う。
だが、事態はそんなに単純だろうか?