散歩/和む散歩ルート

師走の下町で、人気の紫ビル・多慶屋を歩く(3ページ目)

年の瀬のアメ横から御徒町の多慶屋さんのビルをくまなく歩き、さらに昭和通を秋葉原まで。2006年12月30日午後4時に閉店となるアキハバラデパートに行ってきました。

増田 剛己

執筆者:増田 剛己

散歩ガイド

都会の密林「多慶屋」を散策

多慶屋 駐車待ち
平日午後にもかかわらず大賑わいのパープルビル。ビルを囲んで駐車場の空き待ちがズラリ
多慶屋さんの事務所にうかがうと、広報担当の方が応対してくれた。

「すべてご案内しますよ」

とおっしゃるのだが、このあたりに多慶屋のビルがいくつかあり、それらすべてをまわると1時間から1時間半はかかるのだそうだ。適当にちょこちょこっとまわろうと思っていた僕は、エッと躊躇した。

「取材していただくんだったら、すべて見てもらったほうがいいと思うんですよ」

ということで、お話を聞きながら、多慶屋のすべてのフロアを歩くことにした。全部で42フロア(!)あるそうだ。実のところ、最初は乗り気ではなかったのだけれど、この多慶屋散歩が実に楽しかった。

そもそも、多慶屋とは何か。その問いに答えるのは難しい。デパートでもないし、スーパーでもない。ドンキホーテのようなものという説明も実は当たっていない。ただ安い品物が並んでいるだけではないからだ。いいものが安い値段で売られているという説明が正しいように思う。だからこそ、これだけ拡大してきたのだろう。

創業は昭和22年。最初は小さな店舗だったのだが、徐々に大きくなり、今では春日通りと昭和通のこの一帯に多慶屋のビルは9棟もある。これに駐車場やちょっとした店舗もあり、この一帯は多慶屋村とも呼ばれているそうなのだ。

年末商戦真っ只中、大賑わいのビルを上へ下へ

正月用品売り場
最も混雑していた正月用品の売り場!さすがは上野界隈、活気がある
多慶屋散歩の最初は、フロアガイドをもらうことだ。これはあちらこちらに置かれている。ここにすべての売り場の案内がある。

しかし、なんで紫色のビルなんだろうか。広報の方によれば、創業者がビルを建てるときに、戦後間もない日本で金をかけずに目立つ方法ということで、この紫一色の壁になったのだそうだ。今ではパープルビルと呼ばれている。狙いは大いに成功しているようだ。

まずは、本館A棟からスタート。まったく期待していなかったけれど、これが実に楽しい。電化製品、高級腕時計、パソコン、カメラ、フロアを移動するたびにほしいものがある。見ているだけでも楽しいものだ。インテリア・雑貨もあれば、お酒もある。本館のA棟、B棟の1Fにある食品コーナーは、もう人でごったがえし、レジには多くの人が並んでいる。僕もEくんも興味がなかったのはレディス館くらいであとはもう少しゆっくりまわりたいなぁと思うところばかりであった。

「いやぁ、上下運動がけっこう疲れますね」

とEくん。たしかに。ビルの上まではエレベータで行き、徐々に降りてくるというようにまわったので、階段のほとんどは下りだが、それでも疲れる。

デパートや家電量販店とはまた違う新しい楽しさが、多慶屋にはあった。多慶屋をあとに、僕たちは昭和通を秋葉原方向へ向かった。
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