馬喰町から浜町へ江戸をしのぶ

繊維問屋街横山町の風景。法被や作務衣など、ちょっと通好みな衣服も並ぶ
秋葉原駅前より、高速道路が上を走る昭和通を南へ歩き始める。岩本町に出る。看板があった。「既製服問屋街発祥の地」とある。中身を読んでみると、江戸時代、神田川沿いの土手であったこの一帯には、古着を売る簡素な露店がたくさんあったのだという。明治になり、「岩本町古着市場」が開設され、東京の衣類産業の中心になっていったそう。もちろんまだその頃は和服が中心だったが、それが徐々に洋服へと変わり、昭和30年代、この場所は洋服の一大生産地となったのだ。

昭和通から靖国通りを左に曲がり、歩を進めて、馬喰町、横山町に出ると、なるほど今でも衣料問屋が多くある。店舗風にはなっているもののたいていは一般ユーザーではなく小売店相手に商売をしているのである。ただ、このあたりは江戸時代はまったく違った風景だった。特に馬喰町は、江戸の一大旅館街があったところである。地方からの商人が泊まる旅館が多く、ここへ商品を見せに行く問屋街が横山町に広がったのだそうだ。東京駅ができ、車や鉄道が移動の手段になってから、旅館は減り続け、今はその面影さえ残っていない。

靖国通りを右に折れると、昔はここに旅館が軒を連ねていただろう、問屋街が続いている。今度はこのあたりをじっくり歩いてみたいものだ。が、今日は先に進もう。

地下鉄浜町駅の看板が見えてきた。その先にはいくつもの女優さんの名前の幟が見える。明治座だ。明治座に隣接するのが浜町公園である。秋晴れで気持ちいいので、少し中に入ってみる。広くきれいな公園で、散歩コースにもいい。加藤清正を祭った神社やスポーツ施設、子供が遊べる芝の小山や遊具もある。

浜町公園にて。ラジオ体操が行われているのか、体操舞台がぽつんと佇む
公園内には足裏のツボを刺激する「健康こみち」というのがあった。靴を脱いで歩いてみる。Nくんは顔をしかめらながら、

「痛い、痛い」

と連呼している。さて、まだ半分も歩いていない。まだ先は長いぞ。