戦争の仮想体験がゲーム文化にも反映される?

筐体内部
筐体内部に広がる半球状のP.O.D(パノラミック・オプティカル・ディスプレイ)
(C)創通・サンライズ
――なるほど。では、このドームスクリーンの魅力を「ガンダム」以外のテーマを扱ったゲームで活かすということは想定されなかったのでしょうか?

高橋 そうですね。海外だとFPSというゲームジャンルは非常に人気のあるジャンルですが、日本ではあまり人気がありませんよね? どちらかと言えば、PCゲームでコアなユーザーさんが楽しまれているというイメージが強いかと思います。
 この違いはどこからくるのだろうと当社の機動戦士ガンダム 戦場の絆・開発チームで考えたところ、その理由のひとつには軍隊や兵役のあるような国であるか、そうでないかにあるのではないか、と。

――軍隊や兵役ですか?

高橋 ええ。つまり、FPSに登場するライフルやバズーカなどを渡されて、その効果的な使い方などがパッと理解できないと、現代戦を多く扱うFPSのようなゲームは、ユーザーにとってとっつきにくいものなんではないかということです。
 日本にも自衛隊はありますが、日本でライフルや戦闘車両に詳しいのはかなりマニアックな方々だと思うので、そのほか多くの人々にはとっつきにくい部分があるのだと思うんです。

――ミリタリーファンでゲームファンという部分でクロスするユーザー層があるかもしれませんが、確かにこうしたユーザー層が多数というのはあまり考えられませんね。

高橋 はい。そこで、日本の多くのゲームユーザーが仮想体験した戦争は何だったのか考えた結果、「ガンダム」だろうと至った訳です。
 多くのファンに支持されているガンダムでは、「ガンタンク」なら後方支援機、「ガンダム」というと近距離から中距離までをカバーする機体と設定されていて、これは広く知られていると思うんです。そしてこの作品をテーマにすれば、FPSというゲームもわかりやすく伝わるのではないかと、ひとつの仮説を立てて開発を進めていた次第です。

――確かに、ガンダムは人気あるコンテンツですし、また、その設定も広く認知されていますよね。

高橋 ……こうした仮説をもとに開発を進めていたわけですが、現在、AM第3プロダクションゼネラルマネージャーに就任しています当社の小山順一朗が、「どうしてもガンダムのゲームを作りたい」という熱意も開発時の発端ともなっていますね(笑)。

――それでは、操作デバイスについてお聞きしたいのですが、主に操作は2本のレバーと2つのフットペダルなどを使用しますが、これは開発当初からこの仕様だったのでしょうか?

インタビューカット2
高橋 いいえ。開発当初はさまざまなタイプの操作デバイスがありまして、なかにはハンドル型なんてものもありましたね(笑)。試作段階では6つか7つぐらい試作したでしょうか。最終的にはプレーヤーの皆さんが混乱せず直感的に操作できるものを追求した結果、現在のような形となりました。

――ちなみに原作のガンダムのコックピットでは中央に1スティック、サイドにスロットルレバー、フットペダルがあったように記憶していますが?

大脇 そうですね。ですが、私たちは遊びやすいことを前提に考えて今のような形にたどり着きました。ちなみに、ナムコの3D対戦シューティングゲーム「サイバースレッド」でもこの操作方法が採用されています。
 色々試したなかで、この操作方法だと説明が無くてもわかりやすかったんです。たとえば自転車だと曲がりたい方向へハンドルを切ってその方向へ荷重をかけたりしますよね? これと同じように、前方に進みたいなら2本のレバーを前へ、左に曲がりたいなら左へレバーを倒す、ということなんです。このように「機動戦士ガンダム 戦場の絆」での操作は、アニメの設定を重視するよりも、わかりやすい操作を重視しています。