ぬお!? フラフラと『第41回アミューズメントマシンショー』の会場を歩くと、セガのブースにユサユサと揺れるゴンドラを発見! 「ここは遊園地か!」なんて目を疑うような激しい複雑で激しい動きを繰り返すゴンドラは人の乗せている。
よくよく見れば、それはセガが参考出品した体感シミュレーションマシン『CYCRAFT』。シート全部のスクリーンには『F-ZERO AX Ver.』の画面。操る車の動きに合わせ、シートは前後・左右・上下と動きまくり! いや~、吃驚したぁ~。
この驚きは、同じくセガが1990年にリリースした、シートが360°回転する『R360』以来。この『R360』登場以来、ワタシの記憶が正しければ、これほどアクティブに動く体感筐体はなかった。
実はこの体感シミュレーションマシン、 筐体後部のメイン軸と丈夫3軸のサポートモーターで座席シートが当社製品「クラブカート」「F-ZERO AX」の自機の動きに合わせて、前後・左右・上下にスムーズかつダイナミックに可動してしまう。
よくよくこの筐体を見ると、プレーヤーが座るシートを乗せたゴンドラが、つり下げられた状態になっている。これまでの可動筐体では、多くの場合、下からシートを支えるアームが伸びて稼働させていた。
このようなシートだと、上下するような動きが緩やかなものではさほど違和感も感じなかった。だが、上下運動が激しくなると、突き上げてる感覚が強く、ゲーム内容とは裏腹に、言葉は悪いが"わざとらしい"作為的な動きに感じてしまう。
だが、この筐体で実際にプレーすると、このつり上げられたギミックで動きに繊細さを出しているように感じられる。要は、動きが"わざとらしくない"動きなのね。また、つり下げられた状態が、振り子のように動くことで、Gを体感することも可能にしている。
これまでの可動筐体を使ったレースゲームで、ハンドルを左右に切って、「おっと!」なんて筐体の動きに合わせてシートにグイっと背を押しつけ、グリップを得ようとしたことはあっただろうか。少なくともワタシの長いゲームプレー歴にそんな筐体を使ったゲームは無い。
■軍も認めた韓国シミュレーターメーカー
この筐体、セガブースでの出展ということで、「やってくれましたセガ!」とアプローズしたいところなんですが、筐体はセガの開発によるものではなかったりして。会場の案内板によると、参考出品に並んで、韓国「SIMULINE」社の文字。
そう、実はSIMULINE社が開発して、セガはこのSIMULINE社と提携してCYCRAFTを独占販売するっていうことなんですね、へぇ~。……でもこのSIMULINE社、韓国のゲームメーカーを探してもそんな名前の会社は出てこない。
そこで早速、セガブースでこのSIMULINE社について聞いてみると、なんと! 韓国で軍事用のシミュレーターなどを開発している会社なんだとか、わぉ。
でも軍事用のシミュレーターを手がけてるなんて聞くと、ついイメージしがちなのは、NASAの宇宙飛行士が対G訓練で使っていそうな巨大な遠心分離器のようなマシーン。……なんて想像は果てしなく広がってしまいそうなんで、SIMULINE社について調べちゃいましょ。
SIMULINE社という会社、取り寄せた資料によりますと、設立は1996年と比較的最近で、シミュレーター事業を目的で設立。そして確かにモーションシミュレーターを軍事用に開発してました。筐体にも迷彩色が施された、戦車訓練機、自走砲操縦訓練機、タンク操縦訓練機、戦車訓練機なんてものがラインナップに。
その他にも一般車両の研究用であるとか、動力学研究であるとか、そんな高精密度を要求する研究用シミュレーターなども開発する一方で、シアターライドなどのアミューズメント用シミュレーターも開発。そしてこれまで培った開発力を活かして生まれたのが、CYCRAFTというわけ。