構造で他の観覧車を見てみると、特徴的なのは大阪の『HEP FIVE観覧車』。この観覧車は、ビッグ・オーと同様に、建物の上に立つ観覧車で、耐震・耐風安全性を向上させるため、各キャビンの天井に重量36キロの重り2つと、粘性体シリコンオイルダンパーを装着。この装置で揺れの強さを1/2に低減することを可能にした。
この「どうも観覧車の"揺れ"がニガ手」なんて人には嬉しい技術を採用した観覧車、完成したのは、今から5年前。それから同じ建物の上に立つ観覧車としてビッグ・オーは、新たにセンターレス構造を採用して誕生した。
『建物の上に設置するということで、柱形状やその位置決めに苦労しました。それに加えて、450tクローラークレーンを使用するにあたって、他のアトラクションや建物の工事に影響しないようスケジュール調整するのも苦労しました』
と、建設にはかなりの苦労があったようだ。もちろん、世界初の構造ということで安全にも配慮し、観覧車を製造した神戸の工場で試験器を作り、色んな場面を想定したテストも行ったそうだ。
■最新の観覧車はこんなサービスが!
関係者の苦労の末、完成したこの観覧車ビッグ・オー。据え付けられるキャビンにも粋なサービスが光ります。そのサービスとは、あらかじめ用意された楽曲の中から乗車の際に好きな曲を選び、楽しめるというもの。
ちなみに、このサービスは、NTTドコモで提供している『M-stage music』というサービスを利用したもの。『M-stage music』は、『Picwalk P711m』などのドコモPHS対応端末で楽しめる音楽配信サービス。ちなみに、その端末とはこんな感じ。
このような端末を各キャビンに搭載している。『M-stage music』対応端末で聞けるサウンドデータは64kbpsで受信され、実際に聞いてみれば、クオリティーはCDで聞いたの時とほとんど変わらない。また、このキャビンには、環境に合わせた最新の音響設備を装備しているということなので、最適な音楽環境と相まって、さらなる音響効果も期待できる。
こんなサービス、今まで観覧車の大きさや湾岸など良い立地条件を揃え、その眺望をウリにする大観覧車の多い中で、何故なかったのか不思議なくらい。サービス精神溢れるアイデアが生んだ、粋なシステムです。
お気に入りのミュージックを、CDと変わらないクオリティーの音源で、最新の音楽設備から流し、外に目を移せば、ライトアップされた東京の夜景が飛び込んでくる。こんなシチュエーション、ムード重視のカップルだけでなく、会話の気まずい若葉マークのカップルにも嬉しいサービスなのでは?
■たかが観覧車と侮る無かれ!
いやぁ、たかが観覧車、されど観覧車。大きく目立つアトラクションだけに、マンネリ化を避ける為、最新技術やアイデアを次々に投入して、あれこれ楽しませてくれますね。そんな観覧車、今後も観覧車を実際に作っているメーカーなどに、開発にまつわるサイドストーリーを伺っていこうと思いますので、ぜひぜひお楽しみに!
■関連サイト
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