吉田、金沢以外は強化本部推薦
4月に開幕する世界卓球選手権ブレーメン大会(2006年4月24日~5月1日、ドイツ)に出場する日本代表メンバーが決まった。自力で出場権を獲得したのは、男子では吉田海偉(日産自動車)、女子では金沢咲希(日本生命)の2人のみ。ほか全員は強化本部推薦での選出となった(代表メンバーは次のページに掲載)。2大会ぶりに選手復帰となった松下浩二(グランプリ) |
松下、2大会ぶりの選手復帰
若手への切り替えが進む男子だが、昨年の上海大会でコーチを務めた松下浩二(グランプリ)が選手復帰を果たした。昨年は「あいおい・トヨタカップ」の日本開催の準備などに追われ、ユニフォームを着ているよりもスーツを着ている時間のほうが長かったと聞く。練習不足ゆえ、先月開かれた全日本選手権ではどこまで勝ち進めるか懸念されたが、試合を重ねるごとに勘を取り戻し、水谷隼、坂本竜介という「ドイツ組」に圧勝し、2位に食い込んだ。
「チームが自分を必要とすれば出ます。誰でもいいのであれば出ません」
全日本選手権後の記者会見で、世界団体への「見通し」を聞かれた松下浩二はそう述べた。そう言わせるのは、世界選手権はどうでもいいという気持ちからではなく、選手として使えないと見られたら終わりというプロの厳しさを、身をもって感じているからであろう。
5大会連続オリンピック出場を目標に
松下にプレーヤーとして最終的な目標を聞いたことがある。「5大会連続のオリンピック出場です」
2008年北京オリンピックからは、現行のダブルスに替えて団体戦が実施されるが、日本男子は出場権を獲得できるかどうか微妙な位置にある。団体戦の出場権を得るには、選手の世界ランキングが大事な要素となる。
「ほんとは若い選手がどんどん上げていってほしいんですけど、いまは僕が上なので、また上げていかないといけない」
今年は選手としての活動時間が増えるかもしれない。
2年前のドーハ大会では全敗という屈辱にまみれた男子チーム。松下に全盛期の活躍を期待するのは酷とはいえ、チームにカットが一枚いるのは大きい。相手にもよるが、大舞台において「3番の1点」を最も期待できるのは松下だと見ている。吉田を2点起用、もうひとりの2点起用は水谷か岸川、高木和は3番起用というのが予想されるオーダーか。
全日本2位の小西が漏れる
一方の女子では、昨年の全日本社会人を制し、全日本選手権では2位に入った小西杏(アスモ)が選ばれなかった。全日本選手権で、代表入りした平野早矢香、藤沼亜衣に勝った試合などは、柔道でいえば「一本勝ち」に近い内容だっただけに、なんとも悔しいだろう。ドーハ大会では、王者・中国に肉迫し、銅メダルを獲得した女子チームだが、当時と比べるとやや「下降気味」に感じられるのは偏見か。予想されるオーダーは、福原、金沢の2点起用、3番に平野、福岡、藤沼の誰か、というところだろう。