卓球/卓球関連情報

新潟発ビジョン・トレーニング 卓球に役立てたい眼球運動(3)(2ページ目)

国内屈指のビジョン・トレーニング研究家の野澤康さんは、眼球運動の目的は周辺視をうまく使うことにあるという。それは「考えずに動く」ために必要だからだ、と。連載「卓球に役立てたい眼球運動」の第3回。

執筆者:壁谷 卓


「その周りのほうなんか、まったく見えなくなっちゃうんじゃないですか?」
確かに。
「文字だけしか見えなくなっちゃうでしょ? 理解しようとすると」
その通りです。
「動体視力を鍛えるというのは、ある意味でそういうことです」
なるほど。

「卓球のボールに3とか5とか書いておいて、どういう数字が書いてあったかを見分けるとか、動体視力ってそういうことなんです。それは周辺視を使うことと正反対。見たものを認識しようということなので。認識しようとしたら身体なんて固まっちゃうんです。動作は遅れるし。そういう回路を鍛えるのは、身体運動にとって明らかにマイナスです。

卓球でもボールのマークが見えるとか言いますけど、あれは結果的に見えた、見えないであって、マークを手がかりに回転を判断しようとしたら、身体がうまく働かないっていう気がしますよ」

福原愛選手のスーパービジョン

卓球に必要な周辺視の範囲はどのくらいなのか。
「このエリアが見えればOK」という規定はない。
バスケットやサッカーほどの広さは必要ないが、狭くてはダメだという。

ただ、広く見ることよりも大事なのは、周辺視を使うときの集中力だという。
「広く見ようというと、ボーっと見ればいいんですか、という解釈をする人が多いんです。でもボーっと見るのは全然違いますね。緊張に対する弛緩ですから。周辺視は、その局面にものすごく集中していないと使えないですね」

福原愛選手
報道陣に囲まれながら、野澤さん(右)の検査を受ける福原愛選手(2004年6月)
集中力といえば、野澤さんは福原愛選手の目の能力を絶賛する。
昨年のナショナルチームの女子選手を検査したときのことだ。
福原愛選手の周りをテレビカメラやら記者やらが10人くらい囲んでいた(僕もそのひとり)。

「ふつうは、そんな状況で目の検査なんかしたら、動揺するし、うまく見えなくなっちゃうんですが、彼女は全然変わらないんです。見ようとしている空間しか見てない。これは卓球にとって大事ですよ。周りで何が起きても関係ないし。

自分なりにぎゅっと集中したときに、むしろ見なきゃいけない空間が見えてくるんですね。一点集中じゃないんです。限られた範囲に集中できる。プレッシャーがかかるときほど力が発揮できるのは、たぶんそういう面もあると思います」

福原愛選手の勝負強さを、違った角度からかいま見たようで面白い。

********連載*********
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