卓球/卓球関連情報

新潟発ビジョン・トレーニング 卓球に役立てたい眼球運動(4)

視覚行動研究所代表の野澤康さんが目標とするものは、目のトレーニングだけではないという。また、検査を受けた河村選手の結果はいかに……。連載「卓球に役立てたい眼球運動」の最終回。

執筆者:壁谷 卓

河村選手の検査結果は……

ところで、河村茉依選手の検査結果である。
野澤さんはこう宣告した。

「うーん、この結果だけ見たら、河村さんの目の能力はいいとは言えないですね。速い動きがあまりできないし、奥行きをともなう見方もできないし。バランスも極端。右目と左目を使う割合が8・5対1・5ぐらい」

たとえば、眼球運動のトレーニング方法のひとつに「ブロックストリング」というものがある。
ブロックストリングの検査を受ける河村選手

ブロックストリングの検査を受ける河村選手


写真のように、ヒモに通した距離の違うビーズを、それぞれ5秒間ずつ見つめるだけの簡単な方法だ。

ヒモの向きを上下左右に動かして見える角度を変えながら、「両目を寄せる」「両目を近くから遠くに向ける」「素早くピントを合わせる」などの眼球運動を行なう。

そのときのビーズの見えかたによって、両目の動きが正常か否かを自己診断したり、弱い部分を鍛えたりできる。

河村選手の場合、ヒモが正面から右目の側に向いているときは、支障なく眼球運度ができる。

ところが、ヒモの向きを左目の側に寄せると、ものの3秒もしないうちに左目のまぶたがピクピクしてくる。

左の黒目が外側に寄らず、「中央部」に戻っていこうとするのだ。左目の眼球運動がスムーズでないことがはっきりとした。

竹内さんの「テスト」でも……

竹内さんは、やっぱり、という表情になる。

そして、「河村、ジャグリングできないだろ」と言って、ピンポン球を3個渡す。

受け取った河村選手は、いわゆる「お手玉」の要領でやってみる。が、全然つかめず、「できないですね」とため息をつく。竹内さんによれば、ジャグリングは周辺視の能力だという。手の感覚も必要だが、何よりも3個のボールを取り込む視力が必要なのだという。

紙コップボール受け
竹内さんが投げるボールを紙コップで受ける河村選手
次いで竹内さんは、河村選手に紙コップを2つ渡した。
そして少し離れて正面に立ち、ピンポン球を左右に投げる。
投げるというより、アンダースローで山なりのボールをほおる。
河村選手は、自分の右側に来たボールは右手の紙コップで、左側に来たボールは左手の紙コップで受けるというものだ。

河村選手が構える。竹内さんがほおる。
右側に投げられたボールは、問題なく紙コップに納まる。
左側に投げられたボールは……なかなか入らない。それどころか、最初のうちはかすりもしない。
はたから見ていると、演技でもしているんじゃないかと思えるほど対照的で、おかしいぐらいだ。

一緒に見ていた野澤さんがつぶやく。
「左目から映像が消えちゃうんですね」
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