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世界卓球上海大会の日本代表11名決定 そして“加山”は選ばれなかった(2ページ目)

4月に開幕する世界卓球選手権上海大会の日本代表選手が決まった。男子はメンバーを若手に切り替え、水谷隼(青森山田中)が男子史上最年少の出場となる。しかし、中堅・ベテラン選手の実績を無視する選考は危うい。

執筆者:壁谷 卓


加山兵伍
全日本で3位になるなど安定した成績を残した加山兵伍

成績安定の加山が外された理由とは?

今回の代表入りしてもおかしくない選手に、たとえば加山兵伍(グランプリ)がいる。全日本、ジャパントップ12とも3位、代表選考会2位。主要な3大会すべてで安定した成績を残した。世界ランキングも88位で日本男子の4番目。だが、彼は選ばれなかった。理由を考えてみると、彼の年齢しか思い当たらない。

加山は36歳。ちなみに僕と同い年だ。その同年齢として感じることは、「向上」するための努力だけでよかった月日は過去のものとなり、新たに「維持」するための努力も必要になりつつあるということである。目指す分野にもよるが、スポーツの世界ならとりわけ、僕らの年齢からの伸びはほとんど期待できない。巧くなるのは、持っているものの精度を高め、それをいかに効率的に、かつ効果的に使うかという術だけだといってもいい。

そんなことは加山だって感じているはずだ。それでも加山は、祖国で開かれる世界選手権を「最後の」晴れ舞台にしたいと思って賭けてきたのではないかと思う。

つけ加えるなら、加山がその実力をアピールできる機会は少ない。彼が昨年1年間で「出させてもらった」プロツアーは、日本選手が大量にエントリーできるジャパンオープンのみ。彼が存在感を示せるのは、国内のトップクラスの選手と対戦するときくらいなのである。

彼は主要な3大会すべてで安定した成績を収めた。だが、彼は選ばれなかった……。

中堅・ベテランの努力が踏みにじるられる

もちろん、かりに加山が世界選手権に出たとしても惨敗する可能性はある。水谷のポテンシャルを考えれば、彼が世界選手権で「ブレイク」する可能性だってある。しかし、それは日常の地味な継続的な努力を否定する考え方である。

勝負事の本来の基準は「実力・実績」である。それを軽視するということ、すなわち今回の加山の成績を無視するということは、ほかの中堅・ベテラン選手の努力を踏みにじることでもある。それが「深い目」で見たときに、日本の卓球界のためになるとは、僕には到底思えない。
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