「練習が終わったあと、ビールを飲みたいですよね。おいしいですもん。そこで絶対に飲むなとは言えません。ハハハ」
木村先生は天使のような人である。しかし、当然のことながら、飲むときに知っておきたいポイントがあるという。そのひとつが、アルコールは「水分補給」にはならず、脱水症状を促進してしまうという点だ。
「本当は、練習が終わったあとは水分補給が先なんです。アルコールは吸収がいいから、ものすごい勢いで回ってしまって、そのあとの脱水効果も大きい。身体が二重のショックを受けた状態になっちゃうんですね。すると心臓や肝臓に大きな負担がかかる。運動で失われた水分はちゃんとした水分で補うことが必要で、その後にビールを飲むというのがベストですね」
しかし、それではビールの美味さが半減してしまう。やむを得ないのだろうが、なんか面白くない人もいるはずだ。実際、木村先生が講習などでこの話をすると、「煙たがられちゃうんだなー、これが」という状況に陥るらしい。そこで妥協案。
「アルコールを飲んだら、そのまま終わらずに、プラスして水分をとらなければいけない。理論的には、飲んだビールと同じくらいの量の水分を補給することが必要です」
または、練習中にこまめに水分を補給して、最低限、身体がからっからに渇き切った状態を避けてから飲むことが、身体の負担を減少させることになる。「でも、どんなにがんばって水を飲んでも、失われた水分の60~80パーセントしか補給できないと言われています」というから、やはり水分補給は必要になるのだろう。
アルコールを飲む人にとってのもうひとつのポイントは、「ビタミン類を十分に摂取する」ことだという。アルコールを分解する過程でさまざまなビタミン類が使われてしまうからだ。
「ビタミンはただでさえ不足しがちなのに、そこにアルコールが入ると欠乏した状態になります。アルコールを飲む人は食事でビタミンを補うことが必要不可欠です」
アルコールのカロリーも計算に入れなければならない。アルコールは1グラム(ミリリットル)あたり7キロカロリーを目安にする。これに飲む量とアルコール度数を掛ける。たとえば、アルコール度数5パーセントのビールを500ミリリットル飲む場合、7×500×0.05=175キロカロリーとなる。このほかに糖質などの分が含まれるから、けっこう高めである。
以上のような点を知ったうえで、どう飲むか。あとは自分次第だろう。