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NT男子・宮崎義仁監督に聞く(3ページ目)

アジア卓球選手権バンコク大会(2月22~28日)を前に、国立スポーツ科学センターで合宿をしていたナショナルチーム。2月6日、男子の宮崎義仁監督にインタビューをした。

執筆者:壁谷 卓

宮崎監督の契約期間は04年アテネ・オリンピックまで。推定年俸700万円。日本の卓球ファンの期待を一身に背負う代表監督としては、恵まれているとはいえないかもしれない。ただし、監督就任時に成績の「ノルマ」はなかったという。プロの監督に成績を求めない。それが私には不思議なことのように思える。


日本では、成績でいわれると大変難しい点があると思いますね。母体で練習している人間の集まりがNTですので、NTが強化しているかとなると、そこまで集まれないし、スケジュールもとれない。男子はスーパーサーキットにNTの選手を派遣できますけど、全員予定が入っているときもある。30人いても30人全員ダメなときもあるんです。するとNTメンバーじゃない学生を選んだりするしかない。数知れない母体の行事があるという状況なんです。

代表監督はプロツアーにも合宿にも行かないけど、選手が母体でがんばって世界選手権の団体戦で13位から12位に上がった、じゃあ、続投だと。成績でいうんだったら、それでもオッケーでしょ。逆に、365日、卓球界のために飛びまわって働きまくって、汗だくで選手とともにがんばってきたけど、たまたま選手の過渡期で成績が下がったと。それで監督の責任だというのはおかしいと思いますよ。

たとえば、ここがNTセンターで、選手が住まいこんで365日合宿やって、ここからプロツアーに行って一緒に戻ってきて。それで成績が下がるとなったら責任問題でしょ。だから、続投するかどうかも、自分が決めるもんやと思います。自分じゃ無理だな、あの人に譲ったほうがいいなと思ったら譲りますし、あと4年はやりたい、やったほうが日本のためになると思ったら続投したいと申し出るし。叶わなかったら別ですよ。

いまは合宿するといっても、卓球台も十分にあって環境の整った体育館というのはなかなかとれませんし、遠いと交通費がかかるから予算的にも難しい。だから僕は、まずNTセンターをつくることが先決や、と。何年か後には、そういうかたちになるんじゃないかと思いますよ。

それには、母体の問題をクリアしていかないといけないですよね。僕だけの構想だとしたら、各企業のNTに選ばれた選手はNTセンターで生活する。その代わり、年に2回の日本リーグはチームの柱として試合に出る。実業団も出る、プロツアーも出る。ただ、練習の場がこちらになるので、同じチームの選手とは一緒に練習できなくなってしまう。その会社の了解を取り付けないとNTには入れない。

もちろんその中で、NTに入らずに成績だけで答えを出すという選手も出てくるかもしれませんよね。ブンデスリーガでやりたいとか。ブンデスリーガとプロツアーでどんな成績が出るか。落ちていくんならはずすし、トップに上り詰めていくんだったらNT扱いでやっていく。そういう柔軟性はもたしてやらないと。

ただ、日本卓球協会として1ヵ所に集めてやれるようなシステムをつくっておけば、全員が集まれるわけではないにせよ、母体でバラバラにやっているよりも強くなるのは間違いない。そういうシステムを変えていく、強くなるシステムをつくっていくことが重要なんじゃないかと。
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