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クルム伊達公子から学ぶべきこと2

37歳のクルム伊達公子は、何がすぐれていて、そこから学べることはどのようなものがあるのか第2回目。今回はフィジカル面からアプローチしてみます。

執筆者:吉川 敦文

37歳のクルム伊達公子は、何がすぐれていて、そこから学べることはどのようなものか。「クルム伊達公子から学ぶべきこと1」は、技術や戦術面からアプローチを行いました。第2回目は、フィジカル面からアプローチします。

持久力は、プレーの質を上げる

クルム伊達公子
クルム伊達公子は、大切な場面でプレーの質が上げることができる
37歳のクルム伊達公子は、復帰戦であった4月の大会で、予選からのシングルス、ダブルス合計12試合を行った。若い選手であっても、タフに感じる試合数である。「疲れた」と口にこそしなくても、試合後の回復の遅れは感じていただろう。それでもやりきれる理由の一つに、現役時代以上の持久力レベルの高さだ。

持久力がないとどうなるのか。まず、疲れから集中力を落とす。疲れは集中力の低下をもたらすだけでなく、体幹の力を抜いてしまいバランスを悪くする。息が切れやすくなれば呼吸の荒さを招く。呼吸が荒くなれば目線をぶらすことにつながる。この時点でよいプレーを出せなくなる。

持久力に自信があれば、「疲れ」に対して恐れる必要がなくなる。クルム伊達公子にとっての持久力は、終盤での集中力や、「ここぞ」というところで見せる素晴らしいプレーの土台の一つになっている。

プロでなくても普通のプレイヤーであっても持久力は実に大切だ。ないと疲れを感じたり、ボールへの追いつきが悪くなるというだけでなく、技術やメンタルを支えるためにも大切な要素と位置づけられるからだ。

クルム伊達公子は、2004年のロンドンでフルマラソンを走っている。通常プレイヤーもフルマラソンとはいかないまでも、短い時間でもいいので無理のないマラソンや水泳などを行うことで持久力強化に努め、テニス技術や集中力につなげたいところだ。

ウォーミングアップは単なる体作りではない

クルム伊達公子
クルム伊達公子は、念入りなウォーミングアップを行い試合に挑む
クルム伊達公子は、ラケットを持たないウォーミングアップを入念に行う。時間は30分~45分(それ以上のこともある)というが、単なるストレッチやランニングだけでなく、メディスンボールを投げるなどテニスに必要な筋肉に刺激を入れている。

ウォーミングアップは、「筋肉や関節の動きをスムーズにする」「疲れなどで硬くなっている筋肉を柔らかくする」「実際のプレーで行う動きを確認する」という目的がある。3つ目の「実際のプレーで行う動きの確認」はノンプロでも大切にしてほしい。筋肉がよりよい動きの刺激を感じることは、テニスの調子をよくすることにつながる。

例えば、メディスンボールを効率よく投げられるようになれば、ショットの安定やパワーアップにつながる。リラックスしてバランスを意識しながらフットワークドリル(ラインタッチなど)を行えば、ボールを打っている際も力まずに、より正確にボールに追いつきやすくなる。

クルム伊達公子のように早いタイミングでボールを処理したければ、早い動きを入れながら、パートナーに投げてもらったボールをライジングでキャッチするようなウォーミングアップがあってもいいであろう。

何のために行うかをよく理解してウォーミングアップに取り組むようにすれば、より楽しくよりパフォーマンスの高いテニスの時間が送れるようになるはずだ。
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