世界を沸かせた錦織圭
17歳でプロに転向した錦織圭。2008年2月ATPツアー デルレイビーチ国際選手権で優勝 |
日本人男子のツアー優勝は、1992年韓国で松岡修造が優勝して以来となる16年ぶり2人目。この勝利により、ランキングは131位となり日本人No.1となった。
自信の根底にあったものとは?
12歳からアメリカを拠点に置く錦織圭は、ウイナーズスピーチを英語で次のように答えた。「信じられない。この大会を優勝したんだ、信じられないよ。テレビで見ていたジェームスブレークに勝ったんだ。デルレイビーチ、ありがとう。関係者の皆さんありがとう。人生最高のトーナメントだ。僕を1週間応援してくれたファンの皆さんありがとう。今、本当にうれしい。ありがとう」
どこかたどたどしく喜びや感謝の気持ちを素直に語る錦織圭に、観客が大きな声援を送っていた。
勝利後のTVレポーターによるインタビューで、この優勝までの道のりなどを聞かれ、
「どうやってこの大会に優勝できたかわからないよ。ただ、本当に今週はいいテニスができた。精神的にも良かった。肉体的には最高だった」
と答えた。続けて、前の試合では何度も相手にマッチポイント(あと1点で相手の勝利)を握られる中での逆転勝ちしたのだが、それがメンタルに影響したかと聞かれ、
「ファーストセットは少しナーバスになっていた。でも、もっと楽しむようにして……、うーん、(やっぱり)わからないな」
と語った。勝因の多くを語らないが、彼には自信があったはず。世界No.1のロジャー・フェデラー、世界No.2のラファエル・ナダルなどとも練習してきた錦織にとって、相手が誰であっても臆することはない。実際に誰とやっても通用するストロークは、世界のトップでも十分通用することを証明している。
その自信の表れは翌週行われたSAPオープンでもはっきりと感じられた。試合前には「ロディックとやるためにきた」とはっきりとした目標を語り、1回戦では世界ランク96位の選手に勝利し、2回戦でアンディー・ロディックと対戦。惜しくも敗れはしたが、ロディックに対しても精神的には一歩も引かないプレーを見せつけた。世界最速ともいわれるアンディ・ロディックのファーストサーブを、しっかりとスウィングしてリターンエースをとるなど観客の度肝を抜くようなプレーも見せた。
彼の自信には根拠があり、その自信と根拠となる質の高いプレーが成長を加速させている。