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フェデラーが使用するラケットの進化(2ページ目)

フェデラーが今年も圧倒的に強い。フレンチオープンこそタイトルを取れなかったものの、4大大会のうち、3大会に勝利。ここで彼の使うラケットの特集を2回に分けてお届けします。今回はその第1回。

執筆者:吉川 敦文

パワーテニスの幕開けを飾る「HYPER PRO STAFF 6.1 95」

2002年登場の「HYPER PRO STAFF 6.1 95」。この2ndモデルは、1stモデルで使用されたダブルブレイド製法の素材の中に新たに「ハイパーカーボン」と呼ばれる素材を混ぜて編みこんでいます。ハイパーカーボンは、Wilson社が1999年に東レ(株)から供給を受けていた高価で希少な素材。従来のカーボンと比べると、反発力やネジレ防止剛性が非常に高いのです。形状は明らかに今までとは違い、フレームに丸みと厚みが加えられました。それは今までにない「弾き」をもたらすと同時に異次元のフィーリングを感じさせるものとなりました。

魔法のラケット「PRO STAFF TOUR 90」

2003年、フェデラーはあまりにも有名すぎるまでに成長。同年始のランキングは6位で、年末は2位。その頃の使用モデルが「PRO STAFF TOUR 90」。この3rdモデルの形は、2stモデルの「HYPER PRO STAFF 6.1 95」ではなく、1stモデルの「PRO STAFF 6.0 85」に戻ったものだといえます。

1stモデルとの見かけの違いは、ラケット面のサイズだけが85から90と少しだけ大きくなったこと。中身の違いはハイパーカーボンを素材に織り込むなどが大きな違いとして挙げられますが、フィーリングは1stモデルにかなり近づきました。

2003年ごろからフェデラーに他選手が対応できなくなり始め、どんなショットもコントロールされてしまうということで、3rdモデルは、選手の間で「魔法のラケット」とも言われます。PRO STAFFシリーズ史上初めての90平方インチというフェイス面積を採用したことでも話題になりました。

パワーテニスとフィーリングの葛藤が3モデルの進化

現在のラケットはフレームを厚くすることでラケットのフレームの硬さを出し、反発力を上げパワーテニスに対応しようとしています。

当然、フレーム形状を変えるとフィーリングが大きく異なります。既に成功している選手にとって、フィーリング変化を極力抑えパワーテニスに対応できるのは、大きな願いでした。パワーテニスとフィーリングの葛藤が3モデルの進化だったということです。

次回は、形状に頼らずパワーテニスに対応するラケット進化のさらなる発展、3rdモデルと4thモデルの「ナノ」レベルで技術革新をお伝えします。



<取材協力>
プレーヤーズハウス村上功さん

<写真提供>
ウィルソン・テニス
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フェデラー2stモデルの「HYPER PRO STAFF 6.1 95」
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